割り箸

2020年5月15日

何の変哲もない割り箸です。
これを花に使うと言うと、「ガーデニング作業で、虫をつまむとか?」と思われる方がいると思います。もちろん、そういう使い方もあるのですが、花の創作にも、割り箸は結構使われるのです。

花の創作に使うときには、その用途は大きく二つに分けられます。
一つは、作品を構成する素材にする使い方。もう一つは、見えないところに細工するときに、こっそり使う裏方的な使い方です。

割り箸は、花作品のメイン素材にもなり得る

私は、今までに数回、割り箸をメインに使ったいけばな作品を見たことがあります。その中には、草月流展(草月流の一番大きい展覧会)の出品作も含まれます。また、割り箸だけで構成された作品も見たことがあります。

素人さんには、割り箸だけでどうやっていけばなが成り立つのか、想像するのは難しいかもしれませんが、そもそも割り箸というものは小さな木材ですので、意外にいけばな家には扱いやすいし、馴染みも良いのです。
「お箸丸出し」な感じに使うと、コンビニ弁当感とか、ラーメン屋感が出てきてよろしくないですが、手ごろな太さ・長さの直線的にカットされた木材だと考えれば、造形素材としては色々と優秀な特性を持っています。

割り箸の長所

素材としての割り箸の長所は、下記のようにたくさんあります。

  • コストが安い
  • 入手が容易
  • ハサミで簡単に切れる
  • 手でも折れる
  • 軽い
  • 木肌がきれいで滑らか
  • 切り込みを利用できる
  • どこでどんなものを買っても、大体同一サイズ

これらの長所は、いけばな素材として、というよりも、工作素材としての長所と言うべきなのかもしれません。

いけばな家として考えますと、意外にも発想の手助けになってくれるのが、全長の半分以上にわたっている、例の「切り込み」の部分です。

割り箸の「切り込み」は、結構ツカエル!

割り箸を割るための「切り込み」は、割り箸でちょっと何か形を作ってみようと思うときに、地味に活躍してくれます。
割り箸を二本、切り込みのところでかみ合わせるだけで、簡単な立体なら作れます。

大して多くはありませんが、それでもかませ方に多少のバリエーションは作れます。
かませるだけで何か別の形になるところがいいのでして、なんとなく思っていることを、「とりあえず、ちょっと形にしたい。暫定的な形でかまわない」というときにも役立ちます。また、割り箸をひねくって形を考えているうちに、全然違う素材でこの形を作ろう、と発想されることもあります。家の中で調達できる素材ですので、「今、何かで脳内にある形を現実に作りたい」と思ったときに、「今!」というニーズにこたえてくれるところがいいです。

割り箸は、本番の花作品の前段階の素材になることもあったりします。たとえば、数メートルにわたるような大型のいけばな作品を作る際には、あらかじめ模型を作ることがあるのですが、そういうものをほとんど全部割り箸で作るようなことは、珍しくはありません。

管理人が割り箸を「裏方」に利用した作品の実例

割り箸を、作品のメイン素材ではなく、見えないところの細工にこっそり使った例を、管理人自身の作から紹介したいと思います。

まず、作品自体の画像はこちらです→草月流展出品作
画像の作品の花器の中には、下のようなものが仕込まれています。

↑これは、茶色く着色して、長さや太さをそれぞれ微妙に変えた割り箸です。私はこれを、メイン素材であるパイナップルを支えるための杭として、花器の中に打ち込みました。パイナップルを、少し右方向に傾けた状態で固定するために、そのような支えを作りました。割り箸をしっかり打ち込むために、花器の中には砂利を詰めています。
割り箸は、見えないように打ち込んでいるのですが、それでも万が一覗き込んだ人に見られる場合を考えて、茶色に塗ってパイナップルの根と同化させています。

こういう使い道のためには、「何で細工しようかな~、何か無いかな~、あ、とりあえず手近のこれでやってみよう」みたいなことでモノが選ばれることが多いので、割り箸にオファーがかかることになるのです。