壷(キャピック)

※花器カテゴリは、管理人が自分の所有花器を管理するために作成しているものです。(何らかの方法で管理しないと、持っているのを忘れることがあるので)


皆さん「キャピック」ってご存じでしょうか。

↑この壷は、キャピックものです。キャピックとは、刑務所で受刑者が作った、「刑務所作業製品」というやつです。

この壷は、私の記憶によれば、佐賀少年刑務所で作られたもので、父が買って来たんだか、貰って来たんだかしたものです。そのときに、少刑で陶芸の作業があるのは、全国で佐賀だけだ、と聞いたように思います。佐賀は陶芸が盛んですから、土地柄なんでしょう。

この壷が好きかと言われれば、正直、微妙なところです。そもそも、生けるための壷ではなく、飾るための壷なのだと思うので、私には扱い難いタイプの器です。

好きなところは、たっぷりとしたボリュームのある曲線ですね。その上を走る模様も面白いと言えば面白いのですが、

あともう一歩、洗練されて欲しい気がします。

口は小さめ。このボリューム、この口径に生けるのは、相当難しいです。しかし、手ごわい器を見るといつでも思うのですが、「この花器で、いつか一度はステキな花を活けてやろう」と思います。

↑なんと、陶印入りです。要するに、何人かの分業で作ったのではなく、ちゃんと一人の人が作っているということです。少年刑務所ですから、20歳までの少年が作ったわけで、そう思うと立派なものです。

キャピックには、まな板とか、家具とか、将棋盤とか(思いつくのが木工ばっかり)、いろいろ売っているのですが、そのほとんどは「製品」です。
しかし、印入りの壷は「作品」ですから、多分、所内でも一番腕があるような人が作ったんだろう、などと私は推測しています。