鉄スタンド
鉄製の、ポールを立てるスタンドです。
四角い台に、パイプ状の棒が立っています。この棒の中に、ポールを入れて立てるのが本来の使い道です。私は、ポール以外の何かを立てて使っていますが。
鉄スタンドの使用例
私が今まで、この鉄スタンドに立てたのは、何かの枝とか、何かの茎です。本来ポールを挿しこむところに、枝なり茎なり挿しこめば、鉄スタンドを足にして、植物素材を立てることができます。
例えば、今手近にある植物素材を立ててみるとこんな感じになります。
↑ドライのオーガスタを立ててみました。軽いので、簡単に乗せられます。
色も形もシンプルなスタンドなので、主張の無いクールな「足」になります。
私は、実際の作品には、こんな風にこの「足」を使ったことがあります。
使い道は、ほかにも色々あると思います。このスタンド自体は見せないように使ってもいいと思います。
鉄スタンドの正体は、「のぼり立て台」
私は、このスタンドを、草月展に出品した作品に使用しました。これを見たお仲間たちに一番聞かれたことは、
「これ、本部のアトリエで作ったんでしょ?」
ということでした。
「本部のアトリエ」というのは、草月流の鉄工所のことで、いけばな作品に使う「足」とか「枠」とか、「花留め」とか、色々な鉄製のアイテムを発注することができる部署です。
このスタンドのルックスは、いかにも「本部アトリエ製」に見えるので、上記の質問が出るのはもっともなのですが、実は本部アトリエで作らせたものではありません。なんと、楽天市場で買ったものです。
作品にあわせて作ったものではなくて、完全なる既製品です。
この鉄スタンドの商品名は、「のぼり立て台」といいます。
よく、お店の前に、のぼりを立てているところがありますよね、不動産屋とか、お弁当屋とか。町を歩いて、のぼりを見かけることはよくあると思います。
その「のぼり」を挿している台が、この「のぼり立て台」なのです。
しかし、現在ののぼり立て台は、このような鉄製は主流ではありません。
現在よく見かけられるものは、ポリタンク式で、台そのものの素材はそれほど重くないが、水を入れて重量を出す、というものです。
↓こういうやつですね。
これは、店舗資材としては、しまうときに軽くて非常に便利なんですけど、見た目的にいけばな作品の足にはちょっとできないですよね。
私は、自分が高校生くらいのときから、鉄製の「のぼり立て台」を、いけばなに導入できる!と思っていました。その頃には、鉄製のぼり立て台が、現在よりも多く見かけられたのです。
子供の頃には高額なのかと思っていましたが、大人になってからプロ用の店舗資材屋で、1000円台からあるのを知り、いつか絶対に使おうと思っていました。
「鉄足つきポール」に似てるけど……
当ブログの花器カテゴリには、このようなページがあります→鉄足つきポール
「鉄足つきポール」の方は、紛れも無く私が草月流アトリエに発注したものです。私が「こんな形で」というデッサンを持って行って作ってもらったのですが、明らかに「のぼり立て台」から発展させた形です。「いつか使おう」と思っているもの思考が、こういう副産物を生む結果になりました。
ちなみに、「鉄足つきポール」は「花器カテゴリ」、鉄スタンドは「小道具カテゴリ」として分類しているのは何の差かというと、「それ自体を見せる気があるかどうか」の差だったりします。
「鉄足つきポール」のほうは、ポール部分を見せたいつもりで作っているので、あれは私的には「花器」なんです。それに対して、この記事で紹介している「鉄スタンド」のほうは、ただの台であって、見えなくたってかまわないと思っているので、「立てるための小道具」にすぎないのです。
プロ用資材は、とてもシンプルで合理的
この鉄スタンド=のぼり立て台が、とても使いやすいのは、プロ仕様のシンプルさと合理性のおかげです。
このスタンドはなんと組み立て式で、パーツをばらすと収納も持ち運びも楽ちんなのです。
底板に、一か所だけねじがあり、そのねじを外しただけで全部のパーツがばらばらになります。
下は、バラした状態です。
ひとひねりで、底板、棒、ねじに分解できます。
いけばな展に参加したことのある方なら、大きな仕掛けを分解できることが、どれほどありがたいか分かると思います。
このスタンドは、もしも分解できなかったら、持ち運ぶときに箱が必要になるんですよ。板の真ん中に棒が立ってるという形は、とても運び難いのです。
でも、上の画像のように分解することができるので、ちょっと大きめのバッグに入れて運べてしまいます。このおかげで、私は2014年の草月展に、何年ぶりかで電車で出動できてしまいました。(草月展の搬入に、電車出動でOKというのはなかなかできないですよ! みんな赤帽頼んだり、タクシー使ったり、車出して駐車場探しに苦労したりするんです。手持ちで電車出動できれば、大きなストレス回避になります)
大体が、このようなものはいけばな道具としては特殊なものであって、家の玄関に生けるときに使用するようなものではありません。基本的に、外での展示に使うためのものになります。
ということは、持ち運びの利便性は、ものすごく大事なポイントなのです。
こういう合理性を持っているところが、プロ用店舗資材のすぐれているところです。
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