着色オガラ

2020年5月20日

着色したオガラです。
上の画像は、なんだか「やわらかい青・緑系」の色ばかりですが、塗料によって真っ黒にもできますし、真っ白にも真っ赤にもできます。

そもそもオガラとは?

さらっと「着色オガラ」と書き始めていますが、そもそも、オガラとは何か? オガラという名前、聞いたことありませんか?

「‥‥お盆に使うオガラは知ってるけど、それとは違うよね」と思ったアナタは、間違っていません。
実は、着色オガラとは、お盆に使うオガラにさまざまな色を付け、いけばな花材として売っているものです。

一応、「お盆のオガラ」についても説明しておきますと、麻の茎を乾燥させたもので、お盆の迎え火・送り火を点けるときに燃やすものです。お盆の前になると、生花店や、スーパーなどに入荷され、適当な本数を1セットに組まれたものが販売されます。(お供え、ハスの葉、ほおずきなどと、1セットで売っていることもあります)
見た目は、「ただの草の茎が乾燥したやつ」であり、そのまま花瓶に飾ろうと思うようなモノではありませんが、いけばなには、まれに着色しない「枯れ色」のものも使われます。
お盆用品として売っているオガラは、数十センチに切りそろえられたものを使い、通常、それを二つに折って火をつけます。

いけばなに使うオガラ

上の画像のオガラは、私が草月流本部の教室で生けて、それを取ってあるものです。170cmの長いオガラに鋏を入れずに使ったので、捨てるのがもったいなくて取っておきました。
オガラは、もともと枯れものですので、しばらくは取っておけます。

私は、実は個人的には、着色オガラはあまり好きではないんです。だって、あまりにもただの棒で、線に色気というものがありません。しかし、
「いけばなの合作や大作用に使うのには重宝するよね」
という人はたくさんいます。

長さがかせげ、余計な曲がりが無く、軽く、虫ピンなどで簡単に固定でき、色が選べ、値段も安いという特性は、なかなかに貴重です。同じ特製を、ほかのもので探そうとすると、発砲スチロールとか、そういう植物でない素材になってしまいます。
そのために、いけばな展の合作品とか、会場構成の一部などに、オガラを使った例はいくつもあります。

しかし、最近あまり見かけないと思ったら、出荷量が減っているのだそうです。
減っているというか、ほとんど流通しなくなっているのだそうです。もしかすると、展覧会を開く側には大きな魅力であった、「嵩の割りに、ずいぶん安い」というメリットが、今後は無くなってくるかもしれません。(注文して麻を収穫させるようなことになってしまうかもしれませんからね)

自分で着色するのは、たぶん難しい

私が今まで使ったことのある着色オガラは、すべて既製品です。
ナチュラルなオガラを、自分で着色するというのは、やろうと思えばできるのかもしれませんが、たぶん、きれいな仕上がりにはならないような気がします。

だって、既製品だって、色塗りがそんなにきれいではないのです。自分で筆で塗ったりしたら、みすぼらしくなるんじゃないかなあと思います。そうなるのは、たぶん、オガラのもともとの肌質によるのだと感じます。
上の項で、「オガラは個人的には好きじゃない」と書きましたが、その理由には、この「きれいかどうか微妙な着色」であることも含まれています。

……いや、面白くないとは思わないんですけどね。でも、本当に面白く使うのはだいぶ難しい素材です。そう思うのは、私だけではないと思います。