海松

2022年11月24日

いけばな業界では、海松とか、海うちわ、と言われているものです。海藻、と言っても通じます。生物学的な正式名称は、私は知りません。

「海藻」と呼ぶこともあるので、なんとなく海藻の一種なような気がしてしまいますが、こいつはどっちかと言うと、海藻よりも珊瑚に近いものなんだろうと思います。触れば分かりますが、カチカチで、昆布とかわかめなんかとは、明確に別物です。

※私は昔から海松(かいしょう)と呼んでいるので、以下、海松という呼び方で統一します

この海松は、いけばなに使用されます。画像の海松は、横幅50数cmです。
繊細で、しかし重厚な本格派の雰囲気もあり、初見の人には「これなんだろう?」という興味をかきたてる素材です。
存在感が大きいのに軽くて、大作によく使われます。私は、とても若いころに、自分の先生の所有物をお借りして、花展作品にしたことがあります。

この海松なるものを、今から買おうとするのは、かなり困難らしいです。伝聞情報ですが、法律で規制されてとれなくなってしまったのだそうです。市場に出回っているものは規制される前にとったもので、値段は上がるばかりだ、という話です。

しかし、海松人気自体が昔ほど無いので、高額でも喜んで買われるといったことにはならないと思われます。おそらく、近い未来に全く忘れ去られた素材になるんじゃないでしょうか。

画像の海松は、私が労働の対価としてもらったものです。そのときにもらった海松はもう一つあって、下の画像のようなものです。

↑どうやら、大きい海松を、生けるときの都合で切った結果、こんな形になっているようです。

要するに、私の持っている二つの海松は、人の(というか私の先生の)お古です。セコハンだけど、何十年たってもそうそう劣化するものじゃないので、新品となんら変わらないです。

この海松は、細い線のところがチクチクしていて、引っかかりがよく、いけばな作品にはそこが便利に使えたりします。

多分、そのうち草月展にでも使うかなあと思います。かっこよく使えたら、元の持ち主さんにも喜んでもらえるでしょう。