黒牟田焼:壷(丸田延親作)

2020年4月5日

※花器カテゴリは、管理人が自分の所有花器を管理するために作成しているものです。(何らかの方法で管理しないと、持っているのを忘れることがあるので)


うちの父から譲り受けました。作家ものです。私は父からタダで貰っちゃいましたので、父がいくら出してこの壷を買ったものか分かりません。

うちの父が「丸田先生の息子さんの壷」と言っているので、「黒牟田焼 丸田」で検索してみたら、なんとまあ、黒牟田焼は丸田さんだらけで、この壷の作者が誰なのかさっぱり分かりませんでした。

で、父に電話で聞いてみたら、丸田宣政さんの息子さんの、丸田延親さんの作だということが分かりました。
佐賀の陶芸協会の、丸田延親氏のプロフィールを見ると、まだお若い作家さんなのですね。しかも、父がこの壷を入手した時期を考えると、この壷は30代前半か、それより前の作になります。

うちの実家には、佐賀県の焼き物が色々あります。うちの父が、佐賀に単身赴任していたことがあるからです。
香炉だの、壷だの、徳利だのがあり、生意気にも「井上萬二作」や「中村清六作」や、「柿右衛門」もあります。

「柿右衛門」は、「柿右衛門作」ではなく、「柿右衛門工房作」なのだそうで(ホントか嘘か知りませんが、「柿右衛門」と入ってるのは工房の作だということです。柿右衛門本人の作には、名前を入れなくても分かるから入ってないのだ、と聞きました)、手のひらにのるような小壷ですが、5万円だか6万円だかする品物で、父は最初、私に柿右衛門をくれようとしたのです。しかし、私は柿右衛門を一瞥して、
「いらない。丸田先生のがいい」
と言って、この壷を貰ってきました。

柿右衛門も、もちろん良い品なのでしょうが、手のひらにのる「絵付け重視」の小壷よりも、豊かな丸みと、渋い民芸調の色合いの「丸田作」を、私は自分の創造の相手にしたいと思いました。
私が柿右衛門よりも民芸を選んだのを見て、父は心から驚いた様子でした。柿右衛門に飛びつくと思ったんでしょうなあ。

私は、この壷を、展覧会に使おうと思って温存中です。なので、まだ一回もまともに生けたことはありません。
優しくも、強くも生けられそうな気がする器です。民芸陶器は、とっても素朴な風でありながら、おそろしくモダンに生けられることがあるので、色々生け方を楽しめる器になると思います。

下の画像は口元のアップ。相当入ります。
つまり、その気になれば、大作を受け止めてもらえる花器です。

↑の画像で、口に手を差し込んでいるのは、中川幸夫氏が、
「自分にとって良い器かどうか判断するには、器に手を差し入れてみるに限る。手を入れて感じるものがある器は、自分にとって価値ある器だ」
と言っておられたのを思い出したからです。

手を入れてみたものの、うーん、何も感じないなあ。いやまあ、私は天才中川と違うから……(丸田氏の器のせいではありません)。
そういえば、向田邦子氏が、器を選ぶときに、
「対面したときに、首筋がスッとくる器を良い器と判断する」
と書かれていました。私にも、そういうセンサーがどこかに搭載されているのでしょうか。