自分が使った花材事典:グロリオーサ

2018年10月11日

一番一般的な色のグロリオーサだと思います。

グロリオーサは、黄色や、薄緑みたいな白や、白に赤い斑入りもあります。
赤が一番多く出回っていますが、赤の中でも淡い赤や、エンジや、朱色など、色々な種類があるので、展覧会などで大量に使うときには、色味を指定して注文したほうが良いです。エンジと朱色では、作品の印象が大きく違ってしまう場合があります。

グロリオーサは、少し花に詳しい人なら知っていることですが、こう見えてユリなんです。
そっくり返って咲くユリですね。

しかも蔓性で、鉢物で売っているグロリオーサは、朝顔とかブーゲンビリアみたいに、枠にからませています。

ユリなので、例によって私は納品時には花粉を取ります。
花屋さん業界では、グロリオーサの花粉は取るほうが普通ですが、いけばな界はそうでもなく、取らなかったからといって非常識呼ばわりはされませんので、各自の好みで良いと思います。

私は、普段から「花で手が汚れる」ことに慣れてしまっているので、花粉類は素手で取ってしまいます。
そうすると、このくらいは汚れます。

こうはなりたくない人は、ティッシュか何かで取ってください。
一番良いのは、花粉がはじけないうちに取ることです。

↓このくらいのタイミングで取れば素手でも汚れません。

でも、買って来た時点で、花粉はじけてることの方が多いですけどね。

花粉を取った姿はこのようになります。

私は、何度も書いているとおり、ユリの花粉を取った顔はあまり好きません。しかし、グロリオーサは、そう嫌いでもないです。おそらく、全体的にピンピンはねている花なので、オリエンタル系ユリや鉄砲ユリのようには、花粉が顔のポイントになっていないからだろうと思います。

いけばなの世界には、花を分解しちゃうのが好きな人がいます。そういう人にかかると、グロリオーサはこんな有様になったりします。

花粉どころか、花弁も取っちゃうとこのようになりますが、なにやら不思議植物を発見したような気になる気持ちは分からないでもないです。
しかし、グロリオーサに関しては、私はつぼみの面白さで十分です。

何の花なんだ君は、と言いたくなります。

私は、グロリオーサを50本も発注していけばなを作ったことがあります。助手さんには、ひたすらに花粉を取ってもらいました。本サイトの、こちらのページに、「花展からあげてきたグロリオーサ」を家で生けた画像を載せていますが、花展の残り物といえども恐ろしいボリュームでした(御飯をよそうのに、グロリオーサをかいくぐるという騒ぎでした)。
私は、いけばなは「入れりゃ良いってものじゃない」と思っていますが、グロリオーサを50本も使うと……正直申しまして……気持ちよかったです。