自分が使った花材事典:ぜんまい

2016年2月15日

ぜんまい、久しぶりに生けました。

もともと、季節のものなので、ぜんまいは毎年生ける人でも「一年ぶり」なわけですが、私の場合は、数年ぶりです。なぜなら、苦手なんです、ぜんまいを生けるのが。

そうですか、ぜんまいキライですか、って思ったでしょ?
それはちが~~う!!!
私は、ぜんまいは好きなんですよ。この、怪しき見た目、バッチリ私の好みです。苦手なのは、「生けること」が、です。私は、どうもぜんまいをうまく生けられません。

理由は、はっきり分かっていて、軸をこっちの思い通りにできないのがもどかしくて、うまくいかなくなるんですね……。
ぜんまいの軸は、カチカチに固いのです。矯めの名人でも、これは矯められません。曲るだろうと思って、気軽に矯めて、ポキッと折ってる人なら、私はたくさん見ました。恥ずかしながら、自分もその中に含まれています。

自由にならないから苦手、などと言っていると、矯められない花材は全部ダメなのかと言われそうですが、決してそういうわけでもなく、なぜか「その中でも、ぜんまいが特に苦手」なのです。なんかねー、扱っていると、こっちがぜんまいに振り回されてくるんですよね……(完全に負けてるじゃん)。

でも、こういうところが好きなんだよなあ。

ぜんまいの先の「くるりん部分」。「くるりん」なくせに、かわいさよりも怪しさに走っているところが面白い。ケバケバの感じも好きです。

上の画像よりも、もっと緑色の濃いものもあります。

ぜんまいは、水揚げの良い花材ではなく、緑の部分あたりが、すぐに「しわしわ~~」になってきます。軸が、あまりにもカチカチなので、たまに「水から離しても大丈夫なのかな」と思う人がいますが、とんでもないことです。たしかに、軸はカチカチのままですけど、「くるりん部分」がダメになります。

上の「くるりん」も、なかなかに怪しいですけど、シダとかぜんまいの類は、大型化すると、もっともっと怪しくなります。
私は、以前、自分の腕よりも太いシダの、まだ開いて無いやつ(要するに、「くるりん」の巨大なやつ)を使ったことがありますが、家で挿したら怪しくて怪しくて、宅配便のにいさんがギョッとするほどでした。

自分の手では自由にならないぜんまいの軸は、もともとの線を生かすしかないわけですが、一杯買うと、1本か2本は、良い「曲り」をもったものが入っているものです。


↑この線は、もともとこういう形で入荷したものです。
こういうところを、うまく使って、かっこよく挿したいものです。