自分が使った花材事典:ツルウメモドキ

2018年12月6日

秋の花材です。実ものでもあり、蔓ものでもあります。

実付きだけでなく、線の良さにも注目して選びたい花材です。

ツルウメモドキは、秋の展覧会シーズンに、非常に活躍します。草月流では、「ツルウメモドキ」ですが、他流だと、「ツルモドキ」と呼ぶのが主流なところもあります。(花屋さんや、市場によっても「ツルモドキ」の方がとおりが良い場合があります)

で、「ツルウメモドキ」と「ツルモドキ」でそれぞれ検索したら、検索結果はどのくらい違うのかしらと思い、試しに「ツルモドキ」で検索してみたら、このようなものがトップに出てきて大変驚きました。

私は、個人的には、ツルウメは使うけれども、あまり好きではありません。
何が好きじゃないって、この色があまり好みじゃないんです。

↑この品物は、ミカン色みたいな色味ですが、もっと濃いオレンジ色のものもあります。私は、どっちにしろあまり好きじゃないです。
「えー、この色がかわいいのに」
という人がいるのは知ってますが(そういう人の方が多いはずですが)、これはまったく個人の好みの問題なので、どうかお許しください。なぜ好きじゃないのか、自分でも分からないのです。……線は嫌いじゃないですよ。だから、使えるんでしょうね。

上の画像を見ていただくと分かるように、ツルウメの実は、緑の殻がパカッと割れて、中からオレンジ色の実が出てきます。
人によっては、この緑の殻を、全部手ではがすんです。そうすると、オレンジ色のまん丸な実だけになるので、ちょっと表情が変わります。
この「全部はがそう作戦」は、好き嫌いが分かれ、不自然だから嫌いだという人もいます。
私は、元々ツルウメ自体を好かないので、膨大な手間がかかる「はがそう作戦」はしません。しかし、そうする必然性を作品が持っているなら、はがしたいだけはがしたらいいではないかと思います。

ツルウメをたっぷり生けると、素人さんの受けが良いことが多いです。


なんか、「実を生ける」「蔓を生ける」「季節を生ける」というのは、どうも素人さんから見ると「プロい」らしいのですな。
その「プロく見える」三要素が入っているので、喜んでもらえるみたいです。

プロからすると、「喜んでもらえる良い花材だ」と手放しで喜んでいられるものでもないんですけどね。蔓の扱いって、経験者からすると下手が丸分かりになる場合があるので、要注意なんですよ。

ツルウメモドキは、水から離して生ける場合があります。水を飲ませなくても、蔓の形自体は変わらず、そのまま乾いていくだけです。実のほうも、ある程度の日数は、水無しでいけます。なので、展覧会では、水を飲まさずに、高いところに引っ掛けたりして使う作品が見られるのです。
しかし、ずっと水無しで放置していると、やがて実のオレンジ色の部分がシワシワになってきますので、「一ヶ月」とか「秋の間ずっと」みたいな長期の使い方は、私は「キビシイ」と思っています。(実際に、シワシワのままディスプレイに使われているケースもたまに見かけますけど)
私の個人的な感覚で言うと、水無しで生けるなら、「せいぜい10日で交換」と思っています。