自分が使った花材事典:ハナショウブ

2019年2月14日

ハナショウブの記事は、先月にもアップしているんですけど、そのときは、あくまでも「人のゴミをもらってきたもの」として記事にしたので(5.23の記事:ゴミを回収してまいりまして……)、改めて自分で買ったハナショウブの画像で、「花材事典」のカテゴリに入れようと思います。

お稽古に入ってきたハナショウブです。花だけで、葉はついてませんでした。「葉っぱ、あるじゃないの」と思う人もいるでしょうが、画像に見えているのは、花茎についている葉っぱでして、「葉っぱ単独」ではついていないのです。
何でこんなことを書くかというと、正統派のハナショウブの生け方というのは、「葉は葉で立てて、その中に花茎が立つ」という挿し方をするからです。なので、正統派で生けたい人が、花だけなのを見ると、
「なんだ~葉っぱ無いのね」
ということになるわけです。

しかし、花茎だけで生けちゃいけないもののはずはないわけで、花だけなら花だけで、楽しんで生けたらいいのです。せっかくの季節の花なのですから。

お稽古に入ってくるハナショウブは大体そうなのですが、今回の品も、白と薄紫の混合部隊でした。

ハナショウブを生けるときには、花の咲いてくる向きにも気をつけます。素人の方にも、実物を見せて話すと分かってもらえるんですけど、ハナショウブは、バッチリと花の「表」「裏」があります。どっちが表なのかは、つぼみの段階で分かるので、いけばな人は花が正面を向いて咲くように生けます。
素人さんでも、もしも「つぼみの表」を知っていたら、そっちを正面に向けて生けてくれるといいですが、知らなければ、咲いてから「あまりにもそっぽを向いていたら生けかえる」というくらいで十分だと思います。

ハナショウブがそっぽを向いているのは、下の画像で見比べていただくと、素人さんでも分かります。

↓こっちが「表」。

↓こっちが「裏」。

ね、はっきりと差が分かるでしょう?
「これ、おまえのカメラ構える角度で『裏』みたいに見えてるんじゃないの?」
と思われる方には、裏でも表でもない、「真横」からの画像をお見せしましょう。

下の画像は、「真横」から見たところ。(花が傾いている方向に、赤い矢印を入れてみました)

花が、はっきりと傾いていることが分かりますね。上の画像で言うと、左に傾いています。花が傾いているということは、「傾いているほう=花が顔を向けている方」が正面だということです。
画像の花の傾いている方向=花の左方向には何があるかというと、「一番目の苞」があるんです。

苞というのは、下の画像で、①②と番号を振ったもののことです。

ハナショウブには、二つの苞があります。その二つの苞のうち、下の苞、つまり、①がついている苞の側に向けて、ハナショウブは咲くんです。
①の苞の側に、花弁が一枚垂れて、そっちが「ハナショウブの表」であり、「ハナショウブの正面」です。

つまり、下側の苞を、こっちに向けて生けておけば、ハナショウブは黙ってこっち向きに咲いてくれます。これ、素人さんでも、覚える気のある方は覚えておいてください。覚えなくていいやという人は、「ハナショウブを後ろ向きに生けちゃっても、花が開いてからくるっとこっちに向かせればいい」と思って忘れちゃってもいいです。

今回も、二番花は咲かせました!

二番つぼみである証拠に、一番つぼみの花がらを残しています。


二番つぼみでも、こんなにきれいに咲きます。最初の花が枯れた時点でゴミ箱に放り込もうとしている人は、考え直してください!