自分が使った花材事典:イトバショウ

2016年5月30日

イトバショウは、私の好きな花材です。いけばな家の皆さんの中では、「私も好き!」って言う人、多いと思います。

知らない方は、「わりと普通の葉っぱでは?」と思われるでしょうが、この葉っぱは大きさがあるんです。画像の品物は、大体60cmくらいで、イトバショウとしては、むしろ小振りの方です。大きいものは、1mを超えてきます。この大きさを生かして、広い面を作ることも出来ますし、高さを出すことも出来ますし、折ったり曲げたりして表情を作ることもできます。とにかく大きいので、何をさせても「大技を決めた」感じになります。そういうところが、いけばな家を燃えさせるんでしょうか。

形だけを見れば、とても素直で、子どもが描くような葉っぱに見えます。


でも、単純な顔をしているように見えて、色々な表情を持っているんですよ。葉っぱの表と裏にも、表情の違いがあります。

こちら、裏側です。

葉っぱにもっと近づいてみましょう。

こちら、表。

こっちが裏。

上にも書きましたが、私はイトバショウが好きで、展覧会に二回使っています。
また、稽古場にイトバショウが入ると手に取ることが多いので、一時期は「本当に好きなんだねえ」と先輩方に言われていました。

何気に、うちの本サイトにも、イトバショウを生けた画像がいくつか載っています→黄ガラス花器ガラス大皿

芭蕉の類は、葉っぱに切れ目が入っていることがあります。これは、木から落とす前から裂けていることもあるでしょうし、輸送の途中で裂けることもあるのでしょう。庭にバショウを植えてある家というのは、住宅地などに結構あって、そういうのを見ると、かなりべリべりに破けています。多分、風が吹いたくらいでも裂け易い葉なんだと思います。
ということはつまり、手で裂くことも容易なわけです。葉を、効果的なところで破いて、強い印象のある形にすることだってできます。
ほんの数箇所破くときには、「ここしかない!」というところで破きたいですね。破くと、べたっとした面が軽くなったり、動きが出たりします。

でも、「ほんの数箇所」どころじゃなくて、べりべりべりべりべりべり破いちゃってもいいんですよ。
たとえば、こんな風に。

もっともっと破こうかと思ったんですけど、疲れたのでこの辺でやめにしました……。

イトバショウ好きな私は、旧ブログの方で、イトバショウを乾かして、枯芭蕉を作ったときの画像を貼ったことがあります。こちらの記事です。

私は、イトバショウを入手すると、最終的には枯芭蕉に作り、枯れ物として使うことが多いです。
今回は、葉が小さめなので、あまり作る気はなかったのですが、せっかくブログの記事にするのだからと思い、一枚だけ乾かして画像を作ろうと思いました。

正直、このような大きい枯芭蕉があると、「またいたずらにストックを増やすのはやめようじゃないか……」と思わないでもないのですが、まあ、ゴミにするよりはいいですよね。

作り方は、旧ブログの記事と同様に、うちの玄関に吊るして乾かしました。
完全に乾かすのに、約一ヶ月かかりました。葉が薄いので、もっと早く乾くだろうと思っていたわりには長期戦になりました。

できたものは、こちらです。

うん、こうやって見ると悪くは無いです。でも、大型のバショウを見慣れてしまうと、ちょっと迫力が足りないかな……。

今うちにある、一番大きい芭蕉と比べると、「迫力不足」が良く分かります。

手前のものが、今回作った枯芭蕉です。

でも、小さければ小さいなりに使い方はあるので、そのうちお稽古で生けようと思います。

この質感とか、表情をうまくつかまえたいです。

んで……実を言うと、もう一枚余計なストックを作っておりまして……。
びりびりに破いたバショウの葉も、出来心で乾かしてみたんです。
あそこまで破いてしまうと、乾いたときにキレイになるかどうか微妙だと思ったんですけど……ボロ布みたいになるかもしれないと思ったんですけど、まあダメなら捨てればいいんですから。

ということで出来たものがこれです。

いや~。微妙だな。
でも、思っていたより、ずっと面白いものができました。

怪しいものが作りたくなったときに、活用できるかも。

なんか、生きものっぽくも見える。

こういうものは、見れば見るほどに面白くなってきちゃうんですね~。

怪しきものを創りたくなってきました。