鉄花留(直線)

2020年8月25日

草月流のアトリエに発注した鉄の花留です。20何年前に買ったもので、その時の値段は3000円台だったと思います。
現在も、同じものを売っているので、値段を見てみたら、6,600円になっていました……年月を感じます。

中級者以上の道具かと思います

この花留めの大きさは、35×35×35cmくらいです。初心者用のお稽古花や、家庭の中の花飾り用としては、少々高価ですし、大きめです。
展示花を生けるような可能性のある中級者以上の道具ではないかと、個人的には思います。

ただ、この道具は便利なのです。この花留めが一個あるだけで、初心者にとっても「大型作品を作るハードル」「重たい枝を留めるハードル」が相当低くなります。よって、中級以上になることを見据えている初級者ならば、持っておいても良いかもしれません。

鉄花留(直線)の構造

この花留めは、多数の短い鉄棒(10~25cmくらい)を、ジャングルジムみたいな形に溶接して黒い塗料をかけているものです。

鉄棒の太さは5~6㎜くらいで、それが溶接でがっちりくっついているので、太い枝をしっかり受け止めてくれます。

花留め自体、1キロほどの重さがあるので、太い枝をさしても、簡単にひっくり返ったりしません。

鉄花留(直線)の特徴

この物体は「花留」ですので、大きく言うと、剣山とか、オアシスと同じ目的を持ったものです。この花留が、ほかの種類の花留と大きく違うところは、

  1. 見えても良い
  2. 使う方向を選ばない
  3. この花留を、いくつか積み重ねて使用することが可能

↑このような点です。

特徴1 見えても良い

この要素は、大型の作品を作るうえで、非常に役に立ちます。
花留めというものは、種類によっては見えるとカッコ悪いことがあります。たとえば、一見きれいないけばなでも、ワイヤー留めの結び目が丸見えだと興醒めします。草月流では、剣山も隠して使います。(隠さなくてもいい流派もあるようです)

だからいけばな家は、葉を前に下ろしたり、小石を水盤の中に入れたりして、花留めが丸見えにならないようにする作業をしています。隠しにくいタイプの花留めだと、結構苦労して隠します。
しかし、このような、それ自体がオブジェ的で見えてもいい花留があると、隠すことを何も考えないで大型作品をガンガン作っていけます。
むしろ、鉄の質感や、直線で作られた形が面白いので、積極的に花留を見せる作品を考えることもできます。そうなると、花留でありながら、素材の一部にもなるわけで、一石二鳥です。
鉄素材が好きな人で、展覧会などの公の場所に生けることが多い人は、持っていると何かと役に立ちます。

特徴2 使う方向を選ばない

この花留めには、「天地」がありません。どんな方向で使ってもOKです。

その時の状況に合わせ、好きな置き方をして使えます。

特徴3 積み重ねて使用できる

この花留めは、どの方向にどう重ねても、機能が損なわれることがありません。また、しっかりした鉄を溶接しているので、やわな素材でよくある「重ねると、下の方がつぶれてしまう」ということがありません。

そのため、こんな使い方もできます。

「直」を一つ、「曲」を一つしか持っていないので、直と曲を重ねてみましたが、直が二つあればもちろん直を積み重ねることもできます。
重ね方によって、オブジェ的な面白さをさらに大きくすることもできるでしょう。

太い枝を簡単に留められる

実際に、太い枝を留めている画像を出してみます。
たまたま家にあった藤蔓をさしました。

鉄棒と鉄棒の隙間に挿すだけです。
この蔓は、直径3~4cmほどあり、剣山には刺さらないし、ささっても剣山ごと倒れてしまうような代物です。(一般的なお稽古用の枝の直径は、1cm程度です)
壷に上向きに留めるなら、工具でビス留めしなければならないようなサイズです。

それが、この花留めがあれば、数秒で留められます。

「留める」というか、「ちょうど良い差しこみ場所を探す」という作業になります。

器の中に入れても、外に出てもOK

上の項では、花留めのみに枝を留めている画像しか出していませんが、実際に花活けに使うときには、ほとんどの場合で器と一緒につかういます。

どういう器と使うのかと言えば、結構どんな器でも合わせやすいです。
水盤の中に入れるも良し、鉢型花器や花瓶の口にかぶせるようにするも良し。
特になじみが良いのは、同じ鉄素材の花器です。

合わせない方が良いのは、ガラス製の花器など、鉄と一緒にすると傷つくかもしれない花器です。高価な花器に使うのもお勧めできません。

草月流アトリエで注文生産

この鉄の花留は、注文生産です。発注してから草月アトリエで製作するので、草月会館に並べて売っているわけではありません。

製作の方法は、決まった量の鉄を、大体同じ大きさになるように、適当にくっつけていくのだそうです。つまり、まったく同じものを生産しているわけではありません。
何個か注文すると、それぞれの形は微妙に違うということになります。そのほうが「一点もの」で面白いと思います。

大型だが、手持ちで運べる

私は、生まれて初めて参加した草月展で、この花留を利用しました。上にも書いたように、重さは1キロくらいですので、手持ちで搬入出できました。

持ち歩く際には、鉄の塊には違いないので、人様にぶつけないように注意が必要です。