鉄角水盤

2020年3月30日

※花器カテゴリは、管理人が自分の所有花器を管理するために作成しているものです。(何らかの方法で管理しないと、持っているのを忘れることがあるので)


展覧会に使うかな‥‥‥と思って発注した鉄の角水盤です。寸法は、70×70×6.5cm。

この水盤は、寸法を指定して、鉄屋さんに頼んだものです。一辺の長さ=70cmは、草月の人ならうすうす分かるでしょうが、「草月展の花席寸法(AかB)」に納まることを考えて決めたものです。

もっとも、私がこの器を発注したときに「使おう」と思っていたのは、草月展ではありませんでした。実は、これに使おうかと思ったのです→絵と花で語るエラリー・クイーン MYSTERY「謎」展
結果的には使わなかったので、今のところ未使用のまま資材部屋でスタンバイしています。

このように、製作動機が何であれ、普段から草月展に出すことを想定している者は、「草月展でも使えるようにしておこう」という展望を持って、器なり、素材なり、作ることが多いです。だって、お金をかけて大物を作るのですから、使いまわせないと損ですからね。

床に置いてみると、こんな感じ。

発注するときの寸法で、一番悩んだのは、深さでした。6.5cmという寸法は、6cmと7cmの間で揺れ動いた心を表していることが、一度でも水盤の深さ指定をしたことがある人になら分かってもらえると思います。

水盤の深さというのは、結構見た目の印象を左右するんです。薄ければ薄いほど、スマートで、軽くて、シャープな印象になります。反対に、深いと、重くて、強く、いかにも器然とした顔になってきます。
多様な使い方をしたいのであれば、薄めに作っておいたほうが、かっこよく使えることが多いです。しかし、薄いと、当然ですが、入る水の量が少なくなり、生ける植物を選ぶようなことにもなります。

「しかし、たった5㎜の違いくらい、見た目の違いなどたいしたことないだろう」
と言う人がいるとすれば、その人は、見比べたことが無いから言えるんだと思いますね。6cmと、6.5cmを置いて比べたら、差は歴然としてあります。結局それが、作品の全体像に関わってくるので、「どっちでもいいや」とは、なかなか言えないんです。

 器の底がきれいなうちは、ひっくり返して使うこともできます。

伏せて使って、この上で何か展開させるということも可能です。
鉄三角水盤と同じく、焼付け塗装ですので、仕上がりがきれいです。(三角水盤を作ったのと同じ鉄工所の製作です)