鉄三角水盤

2020年3月30日

※花器カテゴリは、管理人が自分の所有花器を管理するために作成しているものです。(何らかの方法で管理しないと、持っているのを忘れることがあるので)


私の通っている稽古場で、購入希望者を募集していたので、申し込んで作ってもらったものです。値段は忘れてしまいましたが、注文個数が多かったのと、少し小さいサイズなので(一番長い辺が、52.5cm)思っていたよりも安い値段だったことを記憶しています。

この水盤は、希望者を取りまとめたときに、とてもたくさんの人数が集まりました。理由は、他所ではなかなか入手できないからです。
大体、鉄水盤というもの自体、花器屋さんに行ってもあまり見当たりません。たまに見かけるものは、変に昔風の飾りが付いていたりします。画像の水盤のような、薄くてクールな三角形の鉄水盤というのは、私は今まで他所では見たことがありません。

「鉄工所を併設している、草月のアトリエでなら売ってるんじゃないのか」
と思う人もいるでしょうが、草月アトリエに注文で作れる鉄水盤と、画像の水盤は、重さが全然違います。画像の水盤は、ちょっとびっくりするほど軽く、ここまで違うと、「アトリエ製と同じ」とは言いにくいです。

Webページで、重さが伝わらないのがすごく残念なんですけど、この水盤の一番の特徴は、ものっすごく軽い・それなのにベコベコじゃない、というところにあるんです。
草月アトリエ製の鉄水盤に慣れた人なら、画像の水盤を持ったら軽さに驚きます。
そして、「実際の重量が軽い」だけではなく、鉄板の薄さが視覚にも訴えて、見た目が「軽くてスマート」という印象を持つのです。本来、重いはずの鉄水盤なのに、「ドテっ」としてないところが、この水盤の魅力です。

もう一つ、特徴としては、表面の塗装が美しいことが挙げられます。この水盤は、焼付け塗装でして、つるつるピカピカの肌をしています。特に、新しいうちはつやが素晴らしく、漆器と見間違える人がいるほどです。

割れないし、軽いし、独自のテイストがあるので、私たちの稽古場の仲間は、よくこの水盤を展覧会に使います。よって、大きさ違いをいくつか持っているとか、同じ大きさを複数持っている人も多いです。
私も、この水盤を大小二つ持っています。

↑大きい方は、一番長い辺が、71.5cmあります。一般家庭では置き場所に困るような大きさです。
しかし、上の画像の水盤は、二枚まとめて片手で持てる重さなのです。使えるやつですねえ!

↑このように、小さい水盤を、大きい水盤の中に入れて使ってもいいと思います。

 私は、今までに一度だけ展覧会でこの水盤を使いました。
↓こんな作品です。

この作品、サンスべリアの葉を突っ張らせて作った隙間に花を入れていっているだけで、剣山は使っていません。いけばなをやっている人には、別段珍しい生け方ではないのですが、なぜか素人のお客様には、これが不思議だったらしく、

「これ、どうなってるんですか?」
「どうして立ってるんですか?」

と、さんざん聞かれ、
「突っ張らせて立ってるんです」
と答えると、
「え?‥‥‥どうしてそんなことできるんですか」
と、さらに驚かれたりしました。技術でも何でもないところに驚かれ、むしろこちらが不思議な気持ちになりました。