自分が作った花材事典:グロリオーサ(黄)

2018年10月16日

先日は赤系のグロリオーサの記事をアップしましたが、今回は黄色です。

↓作品ではありません。ただ、花瓶に挿してあるだけです。

長さをまちまちに切っちゃったもので、写真の撮り方が難しい。。。
鋏を入れる前は、長いものが二本で、枝分かれが多いグロリオーサでした。

大作ならともかく、小さめの花器に生けようとすると、グロは鋏を入れないとどうにもならないことがよくあります。枝が、すごく自由にぴゅんぴゅん出ているので、「ぴゅんぴゅん」を生かした路線を見つけるのもアリですが、切らねばならないときには決然と切る勇気も持っていたいですね。

今回の黄色グロリオーサと、前にアップした赤グロリオーサを比べると、なんだか花の形が違うな、と気付いた方はおられませんでしょうか。

品種が違いますので、まったく同じでないのは当然なのですが、実は、二つのグロリオーサには、品種と同じくらい違う「何か」があるんですねえ。
両者を比べたときに、どっちの花の形をきれいと思います?
圧倒的に、今回の「黄」の方がきれいじゃないですか?

ま、それも当然なんですよ。
違う「何か」とは、花の等級なんです。そして、等級の差=お値段の差なんです。
両者は、一本あたりの値段が100円以上違います。100円の差なんて、素人に分かるものかと思っている人は、「赤グロリオーサ」の記事と、今回の記事の画像をご覧になって、「違うものなんだな」ということを実感していただけたらと思います。(不作で値が上がるときとかは、また別の話です)
100円の差は、分かりますよ。小学生にも分かるんです。

多くの花屋さんは経験的に知っていますが、たとえば、500円で売っていた花を、100円値下げして、同種同色の400円の花に合流させて売ることがあります。そうすると、あら不思議。400円のバケツの中から、お客さんが「これちょうだい」と指差すのは、「旧500円の商品」ばかり。素人さんが「なんだか虫が好く」やつを虚心に選ぶと、ほとんど外れなくグレードの高いほうを選ぶのです。(本当に恐ろしいことですが、「どっちが500円でどっちが400円か当ててごらん」と考えさせると、これはまったく当たりません。考えるな、感じろというやつなのですね)
また、たとえば、母の日に250円の赤カーネをバケツにいれ、作業机の上に置いてたとしましょう。その机の、ちょっと奥の方に、行き先が決まっている300円の赤カーネが、バケツに入って置いてあったとしましょう。
このときに、
「カーネーション一本ください」
と、幼い女の子が買いに来て、私が250円のバケツから花を出そうとすると、敵は300円のバケツを指差し、
「あっちの花の方がいい」
と言うんですよ。奥のバケツの方がちょっときれいだって、分かるんでしょう。
このやりとり、ものすごく多いので、「花屋さんあるある」の一つに数えていいほどだと思います。小学生でも、50円の差を見抜けるんです。ちなみに、逆パターン、「低いグレードを指定された」ためしは、老若男女どなた様にも、ただの一度もございません。

100円以上高いグロリオーサは、軸からして美しさが違う。

開きの美しさが、下から見ても分かる。

等級と値段の高い花をいつでも買え、と言っているような文になってしまいましたが、花屋さんが店の裏で話している会話でとてもよく聞かれるのは、
「このくらいの良い花を、せめてもう100円安く売りたい……」
というような話です。これも、「花屋さんあるある」です。
いや、儲けたいですけどさ、ガバガバ儲けたいんですけどさ、「こんな良い花が、こんなにお安いのね」って言われると……気持ちい~んですよね。

変な風に切って生け難いグロリオーサは、現在こんな花瓶におさまっています。


ある程度広口の器でないと、収拾つきませんでした。
ただ、花瓶に挿すだけがいいなら、あまり鋏を入れずに、一本ままで飾った方が扱いやすいですよ。