自分が使った花材事典:棕櫚

2016年6月23日

棕櫚は、一般の方は切花よりも植木でよく見ているはずです。


本当は、この葉に長い軸が付いていたのですが、生けるときに切ってしまいました。

棕櫚は、よく公園とか、建物の入り口のところの植え込みだとかにあります。庭に植えているお宅も多いです。

木全体の姿を見れば、「ああ、あれか」と分かる方がほとんどでしょう。
↓こんな感じの木です。

上の画像を見ると良く分かると思いますが、棕櫚はヤシの一種なんです。でも、棕櫚にはあまり強引な「トロピカル感」がありませんので、「和」な感じにも生けられます。

私は、棕櫚の葉は、各パーツがほとんど好きです。

「山折谷折」みたいに折り目がある葉。

葉先の部分は、なぜか私には「指」に見えてしょうがない。

葉元の、線が集中する部分の力強さ。

葉裏は葉裏で好きなんですねえ。(私は、大抵の葉ものの裏っ葉が好きですけど)

今回使った棕櫚は、葉がとても厚くて固く、板みたいでした。
投入れ筒の上に置くと、こんな風にお皿みたいに乗っかって、葉のどこもダラッとなりません。カチンカチンです。

なにしろ、指一本を固定すると、こんな風に逆立ちができてしまいます。

さすがに、上のようなスタイルで何時間か置いたら、くたっと倒れてくると思いますが、写真を撮っている間は、完全に直立状態でした。

こりゃあしっかりした葉だと思った私は、この葉を乾かして枯れ物にしようと思っています。
大きさも結構あるので、うまく乾くと面白い材料になるかもしれません。

大きさは、大体こんな感じです。(新聞紙の大きさと比較してください)

ところで、今回私は軸を切ってしまったわけですが、軸が付いたままでももちろん乾かすことはできます。軸も、乾くとカチカチになり、腐ったりはしにくい素材です。

で、この棕櫚の「軸付き葉」を乾かして、昔はハエタタキを家庭で作ったよね、という話しをうちに来るお弟子さんにしたら……知ってる人は誰もいませんでした。

知らないばかりか、バカにしてくるんですよ。
「そんなの戦前とかでしょ」
「いやいや縄文時代でしょ」
などと言ってくるんです。完全に、教室で生徒にコケにされております。

私は、非常に悔しかったので、自分が教わるほうのお稽古場に行ったときに、
「ねえねえ、昔は棕櫚でハエタタキ作ったでしょ。見たことあるでしょ」
と人に聞いてみました。
そしたら、
「うんうん、作った作った!」
という人が何人もいたんですけど、それが全員70歳以上の方でした!

私以外は、全員高齢者!!
マジで、「戦前の話」レベルです。

おかしいな~うちのおばあちゃんの家では、ほんの10年くらい前まであったんだけどな。

高齢者じゃない皆さんに教えてあげますけどね、棕櫚の葉を、紐とか糸でこんな形にギュッとまとめて乾かすんです。

この下に、本来なら軸が付いてますから、軸ごと乾かすと、皆さんの知ってるハエタタキと同じ形になるでしょ?

てゆーか、軸切らないでハエタタキに作ってやればよかったな。
よし、次回棕櫚を使うときには、ハエタタキ製作の画像を貼って見せてやるのだ!