ゴミ箱を漁る人

2019年5月19日

私は、よく稽古場のゴミ箱漁りをします。
添え木にする枝を拾ったり、挿し木にする枝を拾ったり、実物を拾ったり、色々なものをゲットします。その挙句、主にゴミ箱から拾ったもので草月展作品を作ったこともあります。

今回は、「ヤナギゼンマイの先のほう」を拾ってきました。

商品名「ヤナギゼンマイ」での納品でしたが、「カール」とか、「カーリー」とか「コイル」みたいな名前で売っていることもあります。
「ヤナギゼンマイ」というからには、「柳を加工したもの?」とも思われますが、私の目には、藤を削いだもののように見えます。

上の画像には、コイル状の部分しかありませんが、本当は、下の方が直線で、上の方だけカールの加工をしたものでした。これは、いけばなやフラワーアレンジよりも、ドライアレンジの世界でよく使われるものです。
ここまで「製品臭」があると、いけばなとしては、扱いがなかなか難しいです。

しかし、ゴミ箱に放り込んであったので、このまま捨てられるのも勿体無いと思い、拾ってきました。
元々ゴミなので、少しいじくって遊んで捨ててしまってもいいですし、何かこれでできる実験をしてみてもいいです。

触ってみればすぐに分かりますが、カチカチではあっても伸縮性があります。

↓手でぐいーっと引っ張ると、こんな風に伸びます。

↓でも、ぎゅっとつぶせば、また元に戻ります。

ところで、こういうものを扱って、変な使い道を発見したり、妙な形を思いつくときって、皆さんはどういう道筋を辿るものなんでしょう?
私は、ほかの人も大体そうに違いないと思っているのですが、最初から「こんな形を作ろう」とゴールを決めて、そこへ向かって進んでいくことって、あまり無いです。私の場合は、いじくっているうちに、いつの間にかこんな風になっちゃった、ということが主なのです。

↓なんか、こんな風にごちょごちょいじくります。

すると、あるときはこうなり……

またあるときはこうなり……

そのうちに、「丸められるじゃん」とか気付きはじめ……

↓丸めながら二本三本と足していき……

↓だんだん立体になっていき……

……という感じで、ほぼその場のノリで進んでいきます。

いけばなをやっている人は、「こういうのを、どうやって思いつくんですか」と言われることがよくあると思いますが、私の場合は、「思いついたわけじゃないんです」ということがほとんどです。
多分、ほかの人もそうだろうと私は思うのです。
でないと、草月展でいくらでも見ることのできる、「何がどうなったらこう生けられるのか」みたいな作品が、あんなに数多く生まれるわけがないと思います。あれを、「頭の中の設計図先行」で作れるとしたら、そんなもん天才です。草月は天才集団だってことになります。
そんな馬鹿なことはないので、「みんなも、きっと大なり小なり成り行きでしょ?」と、私は思っているのです。