一日でもできる!自由研究ネタ「植物の断面を観察」
先日アップした自由研究ネタに続きまして、花の情報局版:今年の自由研究の第二弾をアップします。
八月も後半に差し掛かってきましたので、より現実的な提案としまして、「わずかな時間でやっつけられるやつ」をやってみましょう。
テーマはもちろん植物。そして、作業量は少なめがいいですよね。
そこで、スパッと植物を切る、ということを自由研究にしてしまいましょう。
◇色々な植物の断面を見る
なんでもいいので、手近にある植物を切ってみましょう。
庭やベランダにある植物、たまたま買ってあった一輪挿しの花、観葉植物、その辺から取ってきた雑草、野菜の切れ端……など、なんでもいいので、すべてを一刀両断にしていきます。
植物の数は、なるべく多いほうがいいし、それぞれに特徴が違う植物をそろえられると見栄えがいいです。でも、そんなにこだわらなくてOK。
数は、多すぎるとまとめるのに時間がかかりますし、「見栄え」などというものは、真理の探求の本質にかかわらないことです。
では、一番手近なところから、ぶった斬っていきましょう。
トラノオの茎の断面
まず、洗面所に一輪だけ挿してあったトラノオの茎をぶった斬ります。
周りの皮の部分は固めなのに、中の組織はふかふか。OH!ギャップ萌え!
カーネーションの茎の断面
次は、玄関に生けていたカーネーションの茎です。
トラノオと比べると、内部が固くてぎっしりしています。そして、カーネーションには「節」というものがありますね。
この、「節」の意味が、ぜんっぜん分からない。なんでこんなもんを作る必要がある?
これは、非常に興味深い植物の謎ではありますが、それを突き詰めるなら来年にしよう! 今回は、「問題提起」にとどめておきましょう。この研究は、あくまでも「ぶった斬ること」がテーマなのです。
さあ、どんどんぶった斬っていきましょう。
次は、観葉鉢の、サンスベリア・スタッキーの新芽です。つまり、切花ではありません。
少し、透明感のある内部です。そして、画像では分かり難いかもしれませんが、水分の含有率がすごい。
そういえば、前の2例である、トラノオ、カーネーションも、それなりに水分の含有率に差があります。
おお、また新しいテーマを見つけてしまった! 植物の水分の含有率は、それぞれにどのくらい差があり、その差は何によってできるのか。よし、これは再来年の研究テーマにしよう。
カーネーションの花の断面
とにかく、今年はぶった斬りますよ。
うん、そうだ。もっと華麗にぶった斬ろう。眠狂四郎みたいに。
円月殺法、カーネーション斬り!
子房が見えてます。
花にとって、もっとも大切な子房が、花弁でどのくらい包まれているのか、花全体の中の、どのくらいの大きさを占めているのか、などを観察しましょう。そのほか、気になることは全部観察しましょう。なるべく、少ない植物で済ませたいので、一つの植物からすくい上げられるものは、全部すくい上げたほうが良いです。
見ているうちに、ほかの花の断面、ほかの花の子房はどうなんだろう?などの疑問も出てきます。
途中から出てくる「謎」は、解決できるものは解決し、研究をまとめるときに付け加えると、見た目の出来高が大きくなります。
しかし、それを解決しようとすると、まったく別の研究に着手しなくちゃならないようなら、「それはまた別の話」ということにして、深追いするのはやめましょう。なにしろ、こっちはスピーディーに自由研究をやっつけたいのです。
スズバラの実の断面
茎と花をぶった斬ったら、今度は実をぶった切りましょう。
ベランダから取ってきたスズバラの実。
切る前に、「この季節に、もうこんなに赤くなっている」という事実に、しばし感嘆なり感動なりしましょう。
感動の後に一刀両断!
種がある!
おしべの後の部分がどうなっているのか、実の内部がどうなっているのか、果肉の部分の色や質感なども、よく観察します。
あ、もしも家にリンゴとか、ビワ、さくらんぼ、モモ、スモモなどの果物があったら、断面図を比較してみると良いです。それらの果物は、すべてバラ科ですので、スズバラとは親戚筋です。
相違点、類似点など挙げてみましょう。
スズバラの種も観察
せっかく種があったので、「ぶった斬り」からは離れますが、種を収穫してみました。
↑バラの種って、こんなんです。
バラの花を見たこと無い人はいないと思います。しかし、バラの種を見たことある人は、あまりいないと思います。
なぜなら、バラの種は、基本的には流通しないからです。
園芸店の、花の種のコーナーに行っても、バラの種というのは無いんです。バラは、完全に、接木苗で流通する植物なのです。なので、子供さんの自由研究レベルで「バラの種」を出したら、なかなかのレア画像の提出になりますよ。
バラを種から育てて喜んでいるような人は、たいていマニアの方です。
ロサ・ホリダ(ばらの品種)の種の断面
レア画像、もう一ついっちゃいましょう。
↓ベランダから取ってきたロサ・ホリダの実。(以前「謎の原種系」と呼んでいたバラです)
なんてワイルドなんだ。
ワイルド系イケメンに、しばし見とれます。
このローズヒップは、まだ緑ですね。スズバラの赤さと比べてみましょう。ついでに、形も比べましょう。同じバラの実でも、こんなに違いが有ります。
で、ぶった斬る。
あらあ。種もぶった斬ってしまった。
なるほど。さっきのスズバラは、一つの実に複数の種が入っていたので、種を真っ二つにすることを免れたのです。でも、このロサ・ホリダは、実の真ん中に種が一つだけ入っていたので、「実を真っ二つ=種を真っ二つ」になってしまいました。
ロサ・ホリダの種を見てみよう
ぶった斬り作戦から、再びちょっと離れて、もう一つのロサ・ホリダの実を手で割ってみました。
やはり、この実にも、種が真ん中に一つだけ入っています。
しかし、これをもって、「ロサ・ホリダのローズヒップには、種は一つしかできない」と断じるのは早いですな。断定するには、サンプル数が少なすぎる。少なくとも、「ほかの固体はどうなのか」という情報がないと、なんとも言えません。
せっかくなので、スズバラの種と、ロサ・ホリダの種を記念撮影。
このツーショット、子供の自由研究レベルではありませんよ。
ローザリアンの領域に入っています。
でも、「実を切った断面」だけで、ここまで来られるんです。だから私は言うのです。植物は、誰にとっても研究テーマの宝庫であり得ると。
上記の「自由研究」は、何をしたのかお分かりでしょうか。
基本的には、
「これ、やってみちゃおう」
「おーすごい!」
「面白いとこはどこだ?」
↑これだけです! 面白がって、その後はほうりっぱなしです。何か、すごい結論に至ろうとはしていません。
自由研究に、まとめは必要かと思います。しかし、結論は必須ではありません。無理に、ス○ップ細胞があったことにするような思想でするものではありません。
分かったことを、分かったと言う。
面白かったことを、面白かったと言う。
疑問に思ったことを、疑問だと言う。
分からなかったことは分からなかったと言い、出来なかったことは出来なかったと言う。
これが、科学的な姿勢でなくて何でありましょうか。この事実だけでも、十分な成果です。
それだけでいいのだと思えば、自由研究など、8月31日の午後だけでもイケます!!
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