自分が使った花材事典:むべ
むべとは、アケビに似た蔓ものです。
長すぎて、どうやって撮っていいか良く分からず、こんな写真になってしまいました。
このむべ、500円だったかなあ……お値段からすると、すごく良い品物でした。
そもそも、このむべはいけばなの稽古場に入ってきた花材なのですが、町の小さな稽古場レベルでは、普通はむべなんて入れてもらうのは難しいのです。500円でむべのお稽古できるって、結構幸せなことです。
私は、花屋として最初に扱ったむべは、鉢物でしたね。初めて稽古でむべを触ったときには、「これ、切花でも入るんだ!」と思ってコーフンしました。
葉っぱの茂りの部分に寄ってみましょう。
切花で、このように大き目の葉っぱで茂りの作れる蔓ものは貴重です。
↑ 巻きひげの表情に注目してみても面白いです。
むべは、とてもしなやかな蔓で、扱いやすいと言えば扱い易いのですが、自立してくれるほど固くないところが、難しいといえば難しいです。
むべの蔓の固さでは、ただ花瓶に投げ込むだけだと、下の画像のように下を向いていしまいます。
下垂させたいときには便利なんですけどね。しかし、支えが無いと圧倒的に下がってしまうものって、しっかりとした形を作りたいときには、困ってしまうことも多いのです。
むべを下垂させないで使おうと思うと、何かにからめるとか、引っ掛けるとかしなければならないことがほとんどです。
(蔓が下垂する作品て、素人さんからするととても「プロい」と見えるらしく、受けが違います。受けたい人は、蔓を下垂させよう!)
花を生けてると心から思うことがあるんですけど……「立てたいときには黙って立ち、下げたいときには黙って下がってくれる花材は無いのかい?」って言いたくなることがあるんですよね。そんなことを言っていたら、いけばな屋失格なんですけど、私は基本的にはめんどくさがりなので、しばしばこのように思うわけです(しばしば失格しているわけですな)。
立派ないけばな家になりたい皆さんは、私のように失格発言などせず、自らの指と花鋏だけで、「立てるも下げるも自由自在」を目指しましょう!
ちょっと脱線してしまいましたが……むべだけで自立させるというのは、不可能ってことでもありませんで(ものすごく柔らかいところしかなかったら、不可能のこともあるかもしれません)むべ同志をひっかけたり、蔓を突っ張らせたりしていると、まあこの程度には誰でも立てられます。
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私はめんどくさがりなので、立てたいと思ったらとりあえず立ってくれる形を見つけ、そこから作品に高めていくにはどうしたらいいだろう、と考えることの方が多いです。
こういう風に立てるんだ!という作者の理想像ありきで、そこに向って構築していくほうが、作業としては高度ですので、良い子の皆さんは、seiの真似をしてはいけません。
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