自分が使った花材事典:ナルコラン

2018年10月26日

ナルコランは、わりと安価な葉物の一種です。
このような葉物ですが、一般の方はご存知なのでしょうか。

「ナルコラン」というのは、ゆり科の植物です。「ラン」が付くので、「蘭?」と思う方がいるようですが、そうではありません。
昔は、「ナルコユリ」という名称も使われました。

ナルコランは、よくよく見ると、たまに小さな花が付いていることがありますが(花の後の実が付いていることもあります)、花をメインに観賞するようなものではなく、やはり「葉物」のカテゴリに入ります。

ナルコランという葉物はですねー、微妙な葉物なんだよね。
私は、ナルコラン君とは随分長く付き合ってきましたが、「ナルコラン大好き」って言う人には会ったことがありません。私自身も、そう好きではありません。

でも、「大嫌い」って言う人にも、会ったことないんです。
ま、そういうポジションの葉物なんですな。

好かれるでも、嫌われるでもなく、
主役を務めるよりも脇役にまわり、
どうしても入手したいと思われることもない。
でも、昔からある定番の葉物で、市場から無くなったりはしない。
……そんな感じです。

草月の先生にアンケートを取ってみたら、「ナルコランは、どっちかと言えばつまらない葉物」と言う人が多いくらいかもしれないなあ。

つまらないと思って扱ったら、ホントにつまらなくなるのがナルコランなんで、そんな風に思って扱ったらダメなんですけどね。

いけばな家の目から見ると、素直すぎるのかなあ。

もうちょっと「曲者」でいてくれる方が、いけばな屋さんの側から仕掛けやすいのかもしれません。

でもね、使い方次第で、色気も出せると思うんですけどね。

結局、つまらなく使うのも、面白く使うのも腕次第でして、私がナルコランを生けてつまらない作品になったとしても、それは私が悪いのであって、ナルコ君のせいではありません。

私は、今までの「通算使用回数」で言うと、いけばなよりも、フラワーアレンジでナルコを使ったことの方が断然多いです。大体、花束やアレンジのあんこに使います。
大型のアレンジのベースを作るのなどは、あっという間にできて便利ですよ。
たとえば、下の画像のように、5本挿しただけでアレンジの基礎工事部分ができてしまいます。

ナルコランは、一般のお宅のお庭でも、結構植えていることが多いです。
なぜか、裏庭にある確立が高いので、日照が少なくても平気なのかもしれません。

しかし、町中に、あれほど存在していながら、全然一般の方に認知されてないんですよねー。残念な植物だ。
アイビーとか、ポトスとか、ハラン、ツワブキのたぐいは、一般の方でもわりと名前を出せばわかってくれることが多いのに、ナルコはほとんど通じません。
自分の家にあるのに、気付いてない人さえいます。