ふくれみかんの実生

2020年3月17日

うちのベランダには、ふくれみかんの木が育っています。すでに記憶があやふやなのですが、2008年か2009年頃から育てている木です(いや、2007年だったかな……)。

みかん系の苗は、園芸店やホームセンターで簡単に買うことができますが、「ふくれみかん」は、その辺のホームセンターでは、そんなに気軽に手に入りません。
ふくれみかんというやつは、なぜか茨城県の非常に狭い範囲でしか見られず、世間の認知度が激低です。そのためか、苗木の流通が少なく、買えるとすれば、かなりマニアックな仕入れをしている園芸店からに限られるでしょう。(ネットだと比較的探しやすいです)

ふくれみかんは、食用のみかんです。しかし、七味唐辛子に使われることが主のようで、そのままフルーツとして食べるのは、本当に産地の人だけだと思います。
いえ、産地の人さえも、「普通のみかんの方がいい」とか言って、今日び誰も食べないようなみかんです。
ふくれみかんはとても小さくて、種がたくさんあります。要するに食べるのがめんどくさいようなみかんなのです。しかも酸っぱいので、よほど酸っぱいもの好きの人でないと、喜んで食べるようなものではありません。

幸か不幸か、私は酸っぱいみかんが好きな人間で、しかも親戚の家にふくれみかんがあったので、それを取って食うのが大好きでした。
うちで実生のふくれみかんを育てることができたのも、私がふくれみかんを食べるのが好きだったことによります。

ある日、ふくれみかんをたくさん貰ってきた

上にも書いたように、都内に住んでいては、ふくれみかんを食べる機会はほとんどありません。しかし、ある日うちの両親が、知人の家でできたのを貰ってきたとかで、私にたくさんのふくれみかんを持たせてくれました。

私は、喜んでそれを持って帰り、2つも3つも食べながら(小さいので、2つや3つはすぐです)、いくらでも出てくる種を見て、
「これ、まいてみようかなあ」
と思いました。
私は、実家で兄貴と一緒に、夏みかんを食べたときに、その種を植えて、大木にまで育てた実績があるもので、みかん類は、そんなに苦労せずに育てられるんじゃないかと思いました。

ふくれみかんの種をまいてみた

「みかんの類は、お気軽栽培でいいのさ」と思っている私は、ふくれみかんを食べながら、なるべく丸々した種を探しました。
そして、その種を3個くらいだったと思いますが、その場で鉢にむぎゅっと埋めました。その鉢を、屋根の無い、雨が降りかかるところに出しておいて、水もかなり適当にしかやらず、春を待ちました。

春になると、芽が出て(いくつ芽が出たのか記憶が無いのですが、間引いた覚えが無いので、1本しか出なかったのかもしれません)、徐々に成長しました。発芽したての頃の姿は、ほとんど画像に残さなかったので、ある程度育った画像になってしまいますが、下の画像のような芽でした。

ふくれミカンの実生

↑発芽して、どのくらいたった芽なのかも分かりません。何の記録も残さなかったもので……(芽が出て一ヶ月はたってると思う……)。

こまめに成長の記録を残さなかったので、次の画像は、更に数ヶ月も成長した姿です。

ふくれみかんの実生

幼木ですが、すでに葉や枝にみかんの仲間の特徴が現れています。

更に何ヶ月かたった画像が下のものですが……あまり大きくなってないですね。

ふくれみかんの実生

でも、ちょっとがっしりしたかな?

だいたい一年くらいたった実生ふくれみかん

画像の残し方がずぼらなので、下の写真をいつ撮ったのかが分かりません……発芽から一年近くたった頃ではないかと思われます。

実生のふくれみかん

↑茎がやや太くなり、枝を横に張りはじめています。

そして、上の画像と同じ年の、冬の様子が下の画像になります。

ふくれみかんの実生

詳しく言うと、11月中旬~下旬頃の画像です。なぜそれが分かるかと言えば、越冬のために、室内に入れたその日に撮影した記憶があるからです。

この時点では、変な「Y字樹形」になっていまして、非常にカッコ悪い姿でした(実は現在でもY字の面影が残っているのですが、上の画像のようにはあからさまではないです)。
このような、Y字が形成されたのは、要するに真ん中の幹が枯れたからです。夏の暑い日に、日焼けか水切れで真ん中の枝先がダメになり、下に枯れ進んで来そうな気配がしたので、途中でチョッキンしてしまいました。
メインの枝を切るのは、さすがに少しためらいましたが、「いた仕方なし」ということで、思い切ってやってしまいました。その後に、サイドの枝が妙に元気に伸びたために、万歳しているようなY字樹形になってしまったというわけです。

↓同じ日に、若い葉の画像も撮っています。

実生のふくれみかん

つやつやしてきれいだったので撮ったのだと思います。

結構本格的に育ってきた実生ふくれみかん

下の画像は、多分2011年の初夏~夏頃のものと思われます。

ふくれみかんの実生

上の項では、思いっきりなY字樹形でしたが、真ん中にも茎が立ち上がってきて、なんとかまともな樹形に戻りつつあります。

下の画像は、同じ日に撮った新芽の写真です。

ふくれみかんの実生

私は、柔らかな色と雰囲気のあるみかん類の新芽が大好きで、新芽画像は、実はたくさん撮っているのです。

実生ふくれみかんの新芽

というわけで、新芽の画像だけを集めてみることにしました。
下の画像は、いずれも2012年に撮ったものです。

本当に、現れたばかりの新芽です。

実生ふくれみかんの新芽

葉の付け根あたりに、小さいものがごちょごちょっと出てきてますが、これが新しい芽です。

↓新芽部分に、ずいっと寄ってみました。

実生ふくれみかんの新芽

小さな小さな新芽が、やがて下の画像のような葉っぱに育っていきます。

実生ふくれみかんの新芽

この軟らかさというか、優しさのある雰囲気が、私は非常に好きなのです。

2012年の実生ふくれみかん

2012年には、うちのふくれみかんは、随分上方向に成長し、大きな鉢にも引越しし、一段とたくましくなりました。

2012.07.01

やっと、「幼木」からも、「Y字樹形」からも卒業できたと思います。

2012年は、夏中アゲハの来訪があって困った年でもありました。アゲハは、もちろんみかんに卵を産み付けに来るわけで、その後私は幼虫さんと遭遇することになるわけで、処理がなかなか大変でした。

アゲハの卵というやつは、一度に何百とかいう膨大な数ではなく、せいぜい2つ3つ産み付けていく感じなので、うちでは捕殺しています。私は、虫は苦手なほうなので、なるべく小さいうちに発見して処理するようにしています。
「早期発見」するには、観察が一番ですね。毎朝、ふくれみかんの顔を見て、余計なお客さんがいないかどうか確認します。アゲハの幼虫は、葉を食べるので、食べた跡があればひと目でわかります(樹液を吸うタイプの害虫は、こうはいきません)。虫食い跡のあるあたりを、葉をひっくり返して捜せば必ずいますので、スピーディーに処理できます。
私は別に、「殺虫剤反対派」ではなく、捕殺で間に合うのでそれで済ませているだけです。ちっちゃなみかんの木一本くらいなら、捕殺が間に合わないということは無いと思います。

2015年追記

このふくれみかんは、いけばな利用するために、2015年夏に掘り上げてしまいました。