自分が使った花材事典:南天
この南天は、あるお宅のお庭から頂戴しました。実が付きすぎて、枝がしなってしまうので、頼むから2~3本切っていってくれ、と言われたのでもらってきたものです。
南天は、どこからゲットする?
今回は「お庭より直送」でしたが、南天は切花でちゃんと流通しています。花屋が南天を入荷するときは、いけばな教室用であることが多く、特に、定型のある「お流儀花」の稽古でよく生けられます。
南天は、お庭で放置状態でも、勝手に毎年実をつけてくれます。そんなに気を使わないで育てられる植物です。
南天は、花屋で買っても、それほど高額なものではありません。お稽古花に使えるくらいのお値段でも出回るのですから。
しかし、お正月花材などで、妙に高いお値段になることもあります。そんなときには、高いお金を出して買うよりも、お庭に南天があるなら、それを切って生けた方が良い場合もあると思います。
あ、「どうせうちには南天無いもの」と思った方、本当に無いのか、もう一度お庭を見てみたらどうです?
いるんですよ、自宅に南天があるのを知らない方! ウソでしょ、じゃなくてね。マジなんですってば。
裏庭の隅のところとかに、南天って植わってたりするんです。特に、トイレの脇! 「トイレの脇に南天」というのは、田舎ではわりと定番の植え方です。
トイレ脇に据える理由は知りませんが、もしかしたら、「穢れを浄化する」みたいな力があると思われていたのかもしれません。南天は、縁起の良い植物とされているので、そういう力があると思われたのかも。
縁起の良い植物である南天は、お正月に生ける花材としても定番です。「ナンテン=難を転じる」なのだそうで、おめでたい植物とされています。(トイレ脇にも、ハレの席にもふさわしい植物って南天くらいだと思います)
南天の広がる葉っぱの生け方は?
素人さんがお正月花に南天を生けるには、ちょっととまどうのは「枝の幅」かな~と思います。
今回もらってきた南天は、「葉付きの枝1本」と、「赤い実のところだけ1本」の計2本でして、一番上の画像は、それを一緒のバケツに挿して撮ったものです。
分かりやすいように、「葉付きの枝1本」だけの画像を下に貼ってみますと……
画角に収まらない……。この枝の幅、1m超なんです。
南天の葉は、傘みたいに広がるので、ど素人の方だと「広がりすぎて困っちゃうな」と思うことが多いかもしれません。あまり大きい枝を入手すると、実際問題として、飾りたい場所に収まらないこともあり得ます。
そんなときは、私だったら葉っぱをバサバサと切ってしまいます。だって、収まらないんだったらしょうがないじゃん?
どんな風に切るかはケースバイケースですが、葉っぱをそれぞれバラバラにするかもしれませんし、はみ出るところだけ先の方を切るかもしれません。また、片側だけ全部切る、みたいなやり方にするかもしれません。
私のように、枝や葉っぱを切り慣れている人間は、わりと平気でどこでも切っていきますが、真の素人さんには、これが結構難しいと思います。
南天の「実だけ」の生け方もアリ
南天の切り方に本当に困ってしまったら、いさぎよく実のところだけにしちゃうという手もありますよ。
↓こういうことです。
私、今実際にこの状態で部屋に飾っています。普通サイズの一輪挿しに放り込むだけだったら、むしろこのほうが飾りやすいです。
別に、葉は邪魔だと言っているわけではありません。こういう選択肢も持っておくと色々な飾り方、生け方ができる、ということです。
南天を生けていると、実が落ちることがあります。
下の画像の実は、勝手に落ちたものと、生けるときに切り落としたものの両方です。
私は、このような実を、とりあえず捨てずに取っておきます。(南天に限らず、サンキライなんかでもそうします)特に目的も無く取っておいても、うちの場合は何かしらに使えるので、「取っといたけど、結局何もせずに捨てちゃった」ということはめったにありません。大体は、ミニいけばなになりますが、たまにクリスマスやお正月の飾り物を仕立てるときに使ったりします。
南天で作る 雪ウサギさん
南天の使い道と言えば、「雪うさぎ」がありますね。
雪うさぎというのは、もちろんこれのことです。
南天の葉っぱを耳に、実を目にして作ります。
カキ氷作って、モノホンの雪ウサギの画像を撮る気力はありませんでした……。
ディスカッション
コメント一覧
まだ、コメントがありません