自分が使った花材事典:えびもみじ

私の憧れ花材の一つ、えびもみじ。
サンゴミズキではありません。えびもみじです。
私、えびもみじに触るのは、たぶん30年ぶりです。30年前に触った時には、私は水揚げをしただけで、自分で生けることはできませんでした。

えびもみじは、本当にサンゴミズキと間違える人がいます。しかし、直に触ると、色も、木肌も枝ぶりも、「何かが違う」と分かります。

サンゴミズキにあってえびもみじに無いもの、それは「矯められる性質」。サンゴミズキは、とても容易にためられますが、えびもみじはほぼ矯められません。たまに、「頑張れば矯められる」という人がいるのですが、私は矯めようと思ったことがありません。
なぜなら、えびもみじは、生まれ持った「曲線」があるからです。

サンゴミズキにも曲線は無いわけではないのですが(無ければ作れもするんですいが)、えびもみじの曲線の方が、なんというか、色気があると思います。ある時はおおらかで、あるときは繊細な、先天的な曲線の魅力があります。

↑この部分、さえた色なので、すごくサンゴミズキっぽい。
しかし、サンゴミズキとえびもみじは「科」が違います。名前の通りに、ミズキとカエデなので、全く別物です。

私が30年ぶりの邂逅を果たすくらいですから、えびもみじは、そんなに気がるには買えません。その辺の花屋でいつでもあるような花材ではありません。
これが入荷するのは、よほど充実した稽古場付きの花屋さんか、生け込みに力を入れている花屋さんでしょう。私が30年前に水揚げしたえびもみじの入荷は後者の花屋、今回買ったのは前者の花屋です。
私よりも上の世代の方によると、昔(50~60年前とかの昔です)はもっと稽古に出てきたような気がする、と言っていました。だとすると、なんで出回らなくなってしまったのでしょうか。