スズメウリ(最終回)

この記事の続きです。

スズメウリ、開花

前の記事で書いていたスズメウリのつぼみが、7月に入って咲き始めました。(7月のことを、翌年の1月に記事にしている理由は後述します)

下は、つぼみの状態です。

2023.07.03

今までに育てたウリ科の植物の中では、一番小さいつぼみです。つぼみが小さいので、もちろん花も小さいです。
このつぼみが、絶妙に葉っぱの陰に付くので、つぼみの存在も、開花していることも、ぼさっと見ていると見逃すくらいです。
しかし、つぼみの数は多く、最盛期は毎日十個以上の花が咲いていました。そんなに咲いても見逃しかねないような花なんですけど。

うれしいことには、放っておいても雌花がたくさんつきました。最初に花が咲いた日に、ちゃんと雌花が確認されました。

2023.07.05

毎日、雌花も雄花もたくさんつきました。今まで育てたウリ科の花は、雄花の方が断然多く、めったに雌花が付かないことの方が普通でした。なので、私は「これは結実する!」と思いました。

人工授粉したけど……

結実を確信した私ではありましたが、今までのウリ科の栽培経験からすると、「人工授粉するべき」と思いました。かつて、自然受粉に任せてうまくいったためしはなく、人工授粉すればあっけないほど簡単に結実する、という植物ばかりでしたので、いかに多くの雌花が付いていても、人工授粉するのが得策だと思ったのです。人工授粉の作業なんて、大した手間ではないのですから。

しかし、実際に人工授粉してみましたら、これが意外にめんどくさいことが分かりました。

まず、花が小さすぎます。小さすぎて、作業が大変でした。しかも、めしべの位置が変に外向きで、人の手で受粉させるのがやりにくい構造でした。

2023.07.09

上の画像で、開いて3つのしべが見えているのが雌花、その後ろに半分隠れているのが雄花です。画像の上では小さくなってしまいましたが、雄花の中に黄色い花粉のついたおしべがあるのが見えます。

一見、受粉させやすいめしべにも見えますが、花粉を付けるべき箇所は、真ん中の三つ巴みたいな部分ではなく、その側面なのです。小さいので、これがとても狭いスペースでして、でも私はしっかり花粉を付けました。……つけたはずです、た、多分。少なくとも見た目上は、ちゃんと黄色い粉がついてました。

ところが、いくつ人工受粉しても、全く結実しませんでした。結実の、気配もありませんでした。文字通り、連日人工授粉していましたが、あまりにも手ごたえが無いので、一か月くらいで諦めました。(逆に、一か月もよくやったよ)

山ほどの花が咲いた

このスズメウリは、山ほどの数の花を付けました。何百個……いえ、千個を超えたと思います。仮に、一日に10個咲いたとして(10個は少なく見積もった数です)、それが3か月半ほど続いたので、機械的に計算すると、10個×3か月半(105日)=1050です。

それだけの花を咲かせて、雌花と雄花が半々くらいについて、頑張って巡行受粉もして、まったく結実の成果無し。最初に「結実するぞ!」と感じた手ごたえもどこへやらです。

そんなに花が咲いたというのに、開花中の株の画像が無いのは、上にも書いたように、花が葉っぱにほぼ隠されていて、「葉っぱが青々している」画像にしかならないからです。
それでも、けなげに花を咲かせ続けているので、私は実を拝むことはあきらめて、秋になって株が枯死するまで付き合おうという気持ちだけで育てていました。
私は、だいたいの蔓植物は、一回は切り花にして家に飾ろうとするのですが、このスズメウリに関しては、一度もそれをやっていません。多分、結構がっかりしていたのだと思います。

思いがけない結実

私は、7月上旬くらいから、8月の上旬くらいまでは、雨が降らない限りは毎日人工授粉していました。
8月中旬くらいからそれをあきらめ、たくさんの花が、ただ終わっていくのを見ていました。そのおかげで、「この株で結実は無いんだろう」と思い込んでいたのでしょう。秋風が吹き始めたら、観察が全然行き届かなくなって、毎日ただ水をやるだけになっていました。

なので、株自体が葉を黄色くして終焉に向かい始めた11月になって、実が1個だけついているのを見てビックリしました。

2023.11.04

私の人工授粉の結果ではありません。自然受粉で結実したものです。
なんで?と思いました。
なんで? いつからいたの? なんでアナタお一人だけ?

あれだけの花がついて、なんで一個だけ結実したのかというより、じゃあなんで他は結実しなかったんだ、と思いました。
この謎は今も解けません。

赤くなりませんでした

結実したスズメウリは、オキナワスズメウリ特有の白い線が入っていました。これが、徐々に色づき、真っ赤になっていきます。……いくはず、と思っていました。

ところが、うちのスズメウリは、あの可愛い赤い実にはなりませんでした。いつか色づくだろう、いつか色づくだろう、と待つこと2か月ほど。他所の家のスズメウリはとっくに色づいているはずだとわかっていましたが、結実自体が遅かったので、赤くなるのものんびり待てばいいだろうと思っていました。(のんびり待っていたために、今日になって記事にしています)

しかしこのほど、色が緑のまま、しわができてへこみ始めました。もうこのまま、黄色く枯れてしまうのだと思います。

大成功ではありませんでした

……という感じで、スズメウリの栽培としては、あまりうまくいかないままに終了しました。
たった一個だけついた実の種をとれば、来年もう一回チャレンジすることも可能かとも思いますが、「スズメウリはしばらくいいや」という気持ちなので、二年連続の栽培はしません。

最盛期に全然結実しなかった理由を、個人的には知りたいです。なんか納得いかん、という気持ちが少し残っています。