飯能窯の陶芸教室に行ってきました(半年前だけど) その3

2019年12月30日

前の記事の続きです。

「こういうものを作りたい」というのを考えて行こう

飯能窯では、花器も、食器も、オブジェも焼けます。
なので、「何でもいいや」と思って行くと、選択肢が多すぎて困ってしまうことになります。特に、決断することが苦手で「あーでもないこーでもない」と悩むタイプの人は、何を作るのか決まらなくて、作業開始が遅れてしまったりします。
自分は現場で「これを作る」とは決められないな、と思う人は、あらかじめ具体的な「完成予想図」を脳内に描いて行ったほうがいいです。

脳内だけでなく、実際に紙にデッサンを描いていくとさらに良いです。
デッサンなどと言うと、なにやら大げさのようですが、ちゃちゃっと落書きした程度の絵でも十分です。絵で足りないところは、言葉でいくらでも説明すればよいのですから。

ちなみに、私の持って行ったひどいデッサンをお見せしましょう。

はい、幼稚園児レベルの絵ですね。この程度で大丈夫です。
私はあらかじめ描いて持って行きましたが、現場でささっと描いても良いでしょう。

土の色や、釉薬の色は、ショールームとギャラリーのあるものを見て決めてください、と言われます。
形の方も、ショールームとギャラリーの商品を参考にして、現場で「こういうのがいい!」と決められるならそれでも良いと思います。

最初に、土の色を選ぶ

私の記憶によれば、白・黄・黒くらいの種類の土があったと思います。その中の、どの色にするのか最初に決めます。そして、土の量も決めますが、これは途中で増量OKです。
土の色も、ギャラリーとショールームにある現物を見て決められます。

実際の作業は、教室の先生と相談しながら進める

教室には、受講者を手取り足取りして面倒を見てくれる先生がいますので、どんなに不器用な人でも必ず形になるように導いてもらえます。ご安心ください。
私たちが行ったときには、一行9名に対して先生二人が付いてくれました。

先生に、「こんなものを作りたいんです」と相談し、「それなら、こういう手順でやりましょう」という風に説明を受けて、そのとおりに作業していきます。
ど素人だと、そもそも不可能なことをやろうとしていたり、とてつもなく手間がかかることをしようとしていたり、高い技術力が無いと到底出来ないことをしようとしていたり、色々と無理なことを脳内に描いていることがあります。
そういうものは、
「それはできない。でも、こういう風ならできる」
「それは、とても難しすぎる。こういう形の方が現実的だ」
というように、必ず解決策を一緒に考えてくれます。
この相談のときに、自分のどうしてもやりたいこととか、それだけはどうしても嫌だということがあれば、きちんと主張したほうが良いです。結果的に、自分の思い描いたそのままのものは作れなかったとしても、できるだけ「当初の理想像」に近づける努力をしたほうが良いと思います。
ホントにできないことは、「できないね~」ときちんと言ってくれますので、作り始めてから破綻するということは無いです。

作業手順……私の場合

参考までに、私の作業手順がどうだったかということを書いておきましょう。
私は上の項の画像のようなもの、つまりは「管をぐいっとねじったようになっていて、自立する花器」を作りたかったのでした。
しかし、「ぐいっとねじる」ところが難しいとのことで、管を二本作り、それをV字型にくっつけるという方法を提案してもらいました。

↓作業中に、たった一枚だけ撮った画像です。

分かり難いかもしれませんが、板状に伸ばした土を、筒に巻き付けて乾燥させているところです。

作業手順を画像化してみますと、まず下のような管を二本作ります。

上の管から、赤く塗りつぶした部分をカットします。
↓ ↓ ↓

カットしたところをくっつけると、こんなかっこうになります。
↓ ↓ ↓

このままだと倒れるので、下に「台」になるものを付けました。
↓ ↓ ↓

そうやってできたものがこれです。

飯能窯の先生方は、素人を導くプロである!

何を作るのかを相談するところから、手順の説明までしてもらううちに強く感じたことは、
「この人たちは、何も分からん素人にモノを作らせるプロだ!」
ということでした。
相手が何をしたいのか見極め、合理的な手順を組み立て、素人が決断し難いことを決断に導いていく腕は、「さすが、本職だなあ」と思いました。
見極めに要する時間もまあ短いこと。瞬時に判断して次へ次へと進ませてくれます。あと、時間の読みの正確性がスゴイ。「ど素人なら、この作業は何分ぐらいでできる」という膨大な経験データがあるのでしょうね。
安心してすべてを任せていれば、必ず時間内に作業は終わります。

作業や、こだわりに、人の性格が現れる

私たちは9人で行きましたので、自分以外の人の作業を8人分見られたわけですが、作業の細かさや、形へのこだわりなどに、完全にその人の性格が現れます。
どうしても妥協できないこだわりがある人は、何度でも形を見直し、
「違う。これも違う」
という試行錯誤を繰り返していきます。
私などは、最初から「素人が体験に来ただけだもん」という考えで参加していますので、何かと言うと、
「どっちでもいいです」
「簡単なほうがいいです」
という姿勢で作業して、ほぼ成り行きのままに終了してしまいました。
何にもこだわりが無かったうえに、もともと不器用人間ですので、出来上がったものを見たら、かっこ悪い指の跡とか付いてましたねえ。
そういうものが「味」になればいいんでしょうが、私の場合には、ただ「雑」にしかなりませんでした。
次に行くときには、もう少しうまくやろうと思います。

土は、余さずに活用できる

自分の作りたかったものを作った後に、ほんのちょっとだけ土が余ってしまうようなことがあります。
教室は、土の量でお金を取っていますので、先生たちは土を無駄にしないように非常に気を使ってくれます。
「この土だったら小皿ができますよ」
「箸置きだったら5個はできます」
と言う風に、小さなものを作らせてくれます。
何個焼こうと、お値段は変わりませんので、土を無駄にするのはもったいないです。最後のひとかけらまで活用しましょう。

釉薬の指定をして、作業は完了

形を作った器は、乾燥させた後に釉薬をかけて焼かれます。
陶芸教室の参加者にできることは、形を作って、釉薬を指定するところまでです。
飯能窯には、ちゃんと薪で焼く窯もあるのですが、陶芸教室の作品は、多分電気窯で焼かれるのだと思います。

器は、1~2ヶ月後に完成する

乾燥と焼きの作業に、1~2ヶ月ほどもかかります。のんびり到着するのを待ちましょう。
焼かれると、一回りくらい小さくなるので、「こんなんだったかなあ」などと思いますし、釉薬のイメージがなんか違うな……とか思うかもしれません。
こういうことは、良いうつわを求める気持ちが強い人ほど思うものなのです。作った達成感だけで満足する人ならそうは思いません。
しかし、素人の作った器などそんなに急にうまくいくものではありません。悔しかったら本気で陶芸勉強しろ、って話です。
私は、良い器を求める気持ちは強いけど、自分の陶芸的手腕には最初から何も期待していないので、下手な器ができてきても、
「うん、想定内!」
とつぶやくだけです。

自分の反省点

私の場合、初めて陶芸教室に参加して、
「成り行きでいい加減にやりすぎたために、ヒマであった」
ということがもっとも大きい反省点でした。
どんどん楽な作業を選択し、手のかかることを一切しなかったため、私一人がヒマでぷらぷらしている感じでした。
実際に作業していた時間よりも、人にちょっかい出していた時間のほうが長かったですね~。あまりあっさりしすぎていてもつまんないな、と思います。次に行くときには、もう少し作業内容を考えるとか、自分なりのこだわりのあるものを作るとか、なんとかしようと思います。

飯能窯の周りには何も無いですよ~

飯能窯の回りは、マジで何も無いです。コンビニも、食べ物屋さんも無いです。そのため、飯能窯の案内には、「お弁当をご持参ください」とばっちり書いてあります。
窯の敷地内で買える飲食物は、一杯200円のコーヒーと、自販機の飲み物だけです。

ランチタイムは、陶房の中ではなくて、ティールームのほうで食べられます。気持ちの良い景色を見ながら、川の水音を聞きながらのランチになります。
私は、ランチ後にショールームを眺めていて、うっかりこのようなものを買ってしまいました→そば徳利

飯能窯の由来などは……

飯能窯の主催者:虎澤英雄氏の情報はこちら→飯能焼 武州飯能窯

その他

Posted by sei