実験:植物をキッチンハイター(漂白剤)に漬けてみた
ハイターで、植物の漂白実験をしてみました。
ドライ花材の中に、「晒しもの」というやつがあります。なんか、江戸時代の刑罰みたいな名称ですが、「晒しもの」とは、文字通り、漂白剤で白く晒した花材のことです。
(うちの本サイトでは、漂白花材として、晒し藤つるとスパイキーボールを紹介してます)
晒し花材というものは、普通は既製品で購入します。家で、自分で漂白花材を作る人には、私は会ったことがありません。手作り雑貨の本で、貝殻だかをハイターで漂白する方法を見たことがありますが、植物、それも生けるための植物を家で漂白するのは、あまり現実的ではありません。
だって、蔓や枝を漂白しようと思ったら、漂白中の蔓や枝を入れておけるものって……普通の家だと浴槽くらいしかないですよね。貝殻だったら、適当な容器が見つけられると思いますけど、大きさのある花材類はムズカシいです。
なので、私は漂白剤を家で使うときに、「これで晒しものって作れないもの?」と思ったことは何度もありましたが、実行に移したことはありませんでした。
今回、私はまったくの気まぐれで、家のキッチンハイターで植物に漂白実験をしてみました。
三種類の植物をハイターに漬けてみた
こんな実験をしてみたくなった理由は、「もう無くなってるな」と思って新しいハイターを買ってきたら、意外に古いボトルの中身が結構残っていたので、ちょっといたずらする気になった、というところです。
家庭用漂白剤ごときで、一体どこまで既製品の漂白花材に迫れるものだろうか?というのが、実験のテーマです。
……とは言っても、急に思いついたもんで、何を漂白しようか迷いました。
候補を探しに道具部屋を見に行き、まずはこいつを生贄にすることにしました。
完全に乾燥したすすきの穂。本当の穂はもっと大きいのですが、少量のハイターで実験しようと思っているので、少ししか使いません。
晒しススキって、あまり無いですけど、晒しパンパスならありますから……あんな風になるのでしょうか。
もう一つ、フジツルの切れっぱし。
上記のように、ハイターは少量しか使いませんし、本気で漂白花材を作るつもりではなく、色の変化だけ見ようとしているので、先っぽを少しだけ折ってきました。
このフジツルは、そもそも晒しフジツルだったのですが、何年も保管している間に、真っ白ではなくなってしまいました。
キッチンハイターで、純白の美しさは復活するのでしょうか。
フレッシュな花も一種類だけ試すことにしました。
傷み始めていたので、つまみとって捨てようとしていた胡蝶蘭。
なんか、豪華な感じになってまいりました!
これらの材料を容器に入れ、ハイターを、あるだけ注ぎました。思い切って、原液でいっちゃいました。ヒタヒタにはちょっと足りないくらいだったので、押し込んで無理やり漬けています。
胡蝶蘭の花を下に向けたのは、花のリップの部分を、どっぷり漬けたかったからです。
原液でいっちゃってよかったのか、このままどのくらい漬けたらいいのか、全然分からないままに、行き当たりばったりで実験を続けていきました。
ハイターに漬けて50分後
キッチンハイターにどっぷり漬けた植物たちをしばし放置し、約50分後に見に行ったらこのような状態になっていました。
ススキと蔓にはほとんど変化がありませんでしたが、胡蝶蘭が一部、いや~な色になり始めてます。
花弁の縁と、傷んでいるらしきところから、色が抜け始めました。
真っ白じゃなくて、なんなんだろう、この黄色みたいな変な色は。
三種類とも、とんでもなく変な色になって終了するような嫌な予感を覚えました。
ハイター実験開始より、約7時間後
上の項から、約6時間後、ハイター実験開始からは、約7時間たった状態です。
うわ~~~~。気持ち悪!
この時点が、最も気持ち悪かった状態です。
上の画像を見るにつけ、ピンクの胡蝶蘭の色が抜けていくのは、まず青っぽくなり、それが黄色になり、そこを超えると真っ白になるようです。
この、ピンク・青・黄色の混合軍の有様が、実にキモチワルイ。
青と黄色が、嫌な感じの色味なんですよね~。なんかあの、「正月餅の派手な黴」の持ってるような嫌な色でした。
一方、ススキと蔓は、順調に白色化が進んでいます。
ハイター実験開始より、10時間
上の項の状態から、さらに3時間後。実験開始からは、約10時間後の画像です。
ススキと蔓は、完全に純白になりました。私は、蔓の完全復活を目の当たりにして、ちょいとテンション上がりました。
胡蝶蘭は、まだキモチワルイ色が残ってはいますが、どんどん純白の部分が増え、遠からず、全体が真っ白になるだろうと思えるようになりました。
ハイター実験開始より、丸一日後
上の項、つまり実験開始から10時間目までは、数時間おきに状態をウォッチしていましたが、ここから突如、丸一日たった状態に飛びます。(理由は、夜をはさんだことと、次の日は私が一日中外出していたからです)
こんなに真っ白になってました。
胡蝶蘭のキモチワルイ色がなくなり。ついに純白になりました。(花の付いてる茎のところは、ハイターに漬かってないので、そこだけ元の色です)
ずっと下を向けていた花をひっくり返してみました。すると驚いたことに……
なぜか、リップの真ん中の、カルスのところだけ色が残ってる。なんで??
カルスは漂ハイターが効かない!という大発見。(あるいは、もっと時間をかければ白くなるんだろうか?)
蔓と、胡蝶蘭を白い紙の上に出してみました。
すっかり白くなっていることがお分かりでしょうか。
ここに、ススキが写りこんでいないのはなぜかと言いますと、ハイターから引き上げるときに、全部ボロボロに崩れてしまったからです。
どうも、ハイターが強力すぎて、組織をバラバラにしてしまったっぽい。
フジツルはどうなのかと思って、フジツルにそっと触ってみたら、簡単にポロッと折れてしまいました。ハイターの破壊力、恐るべし。
いくら触っても大丈夫だったのは、胡蝶蘭だけでした。
今回、私はハイターを原液で使いましたし、丸一日も漬けてしまいましたから、ススキと蔓には効きすぎてボロボロにしてしまったようです。
ハイターの濃さとか、時間を調節すれば、木の実なんかは家で漂白できる気がする。でも、かかる手間には見合わないように思うので、私は「自家製漂白花材」は、やっぱりやめとこうと思います。
漂白胡蝶蘭をどうしたかと言うと……
2~3日かけて完全に乾かし、上の画像のような「漂白乾燥胡蝶蘭」ができました。
手間も時間もかけたし、胡蝶蘭には違いないし、どうしようかな……と考え、「ポプリに混ぜちゃえ」と一瞬思ったのですが、とんでもないハイター臭がするので、それは断念。
結局、ドライものを保管している瓶に、一緒に入れてあります。今後、使い道があるのかどうかは分かりません。
ここまで長い記事におつき合いくださった方は、ホントにお疲れ様でした。
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