自分が使った花材事典:君子ラン

2020年1月12日

君子ランは、鉢物でよく見かけますね。

鉢物のほうが、圧倒的に多く見かけますが、切花でも流通しています。

君子ランは、意外によく持ちます。傷んできた花を取る手間は必要ですが、つぼみが次々咲くので、2週間くらいは楽しめる感じです。

上の画像の君子ランは、買ってきたばかりのときには、下のようなつぼみでした。

一番上の、開いている画像は、買ってきてから6日目の画像です。

君子ランは、葉っぱも付いた切花で売っていることが多いです。

いけばなに使うなら、葉っぱはあったほうが扱いやすくなります。
一輪挿しに挿す程度でも、花だけだとあまりにも「スカスカ」になってしまうことがあるので、葉っぱがあったほうが様になりやすいでしょう。

うちの実家には、私が子供の頃に君子ランの鉢がありました。
うちは、どうも君子ランを咲かせるのが下手で、その鉢は毎年花をつけてはくれませんでした。

めったに咲いてくれないと思うせいか、花が咲いた年は、母が必ず写真を撮っていました。
その写真があったために、あるときに、母が妙なことに気づきました。
うちの君子ランは、なぜか、兄貴か私の「入学」とか「入園」がある年にだけ咲いていました。これは、まったくの偶然なのですが(偶然しかありえませんものね)、ちょっと面白い偶然だったので、うちではこの君子ランを、なんとなく「ご入学のシンボル」みたいに感じるようになりました。

ところがですね、これがよくない方向に転んだことがありました。
兄貴が高校受験の年に、うちの君子ランは、咲くのであればとっくにつぼみがあがってくるタイミングを過ぎても、一向にその気配がありませんでした。
それを、うちの兄貴が気に病んだのです。兄貴は、間違っても不合格になるとは思えない学校を受け、そのために、いわゆる「滑り止め」というものを受けていませんでした。
私は、お兄ちゃんは余裕なんだろうと思っていましたが、受験生の心理というものは微妙なもののようで、君子ランのつぼみが上がってこないばっかりに、兄貴は「落ちたに違いない」と、半ば思い込んでいたようでした。
結果的には、兄貴は予想通りに合格していて、「君子ランのお告げもあてにならん」ということになったのですけど、なんと合格が分かったその後に、異様に遅いタイミングで、君子ランのつぼみが顔を出してきました。
「ご入学の法則」は、守られたのです。

なぜ、その年に限って、君子ランのつぼみが遅かったのかと言えば、それは多分栄養状態とか、生育環境のなせる業で、間違っても兄貴の入学試験の成績が悪くてマジで危うかったから、などということは無いはずです。しかし、兄貴がひそかにそれを疑っていたことを、妹の私は知っているのです。