自分が使った花材事典:フォックスフェイス

2020年1月8日

フォックスフェイスは、人気の生け花花材

フォックスフェイスも、とっくにアップしたと思っていたのに、意外にまだだった花材です。生け花の教室では、かなりの人気花材でして、もちろん私も大好きです。

フォックスフェイス レモンみたいな花

フォックスフェイスを初めて見た方の第一声は、
「レモン……ではないですよね」
というのが一番多いです。
深く考えずにパッと見たら、「レモン」と言いたくなるのも無理ないと思います。
でも、フォックスはもちろんレモンではなく、柑橘類ですらなく、ナスの仲間だったりします。

フォックスフェイスの切花は、長さいろいろ

上の画像のフォックスフェイスは、丈が50cmくらいです。しかし、実を言うと、入荷した分のほんの切れっぱしにすぎません。全体像の写真が撮りにくいから、上のように、切り落とした先端部だけを撮ったのですが……でも、がんばって全体像にチャレンジしてみましょう。

ということで、チャレンジしたけど、

フォックスフェイス 生け花花材

ファインダーに収まらん! 私のカメラのレンズでは無理っす!

というほどに大きい枝を、今回は使いました。全長2メートル以上ありまして、これでも実は切って短くしているのです(展示場所の天井につかえたので)

諦めて、ケータイのカメラで撮った画像を貼ってみます。

フォックスフェイス 生け花花材

周囲のものと比較して、大きさを察してやってください。

世に切花として出回っているフォックスフェイスは、全部このような巨大なものではありません。お稽古花などに出てくるものは、大抵50~60cmくらいです。結構本格的な花材を使った稽古になると、1mクラスのものが出ることもあります。
2mを超える巨大なものは、主にディスプレイとか、生け花・フラワーアレンジメントの大作に使われます。

フォックスフェイスは、レモンみたい

世の中には、フォックスフェイスを本気でレモンだと思って見ている人もきっといるのだろうと思います。でも、上にも書いたように、こいつの正体はナスなのです。

フォックスフェイス=狐顔、という名前は、もちろん、特徴的な実の形からつけられたものでしょう。

フォックスフェイス レモンみたい

そう言われれば狐かもね、って感じです。

↓大きさ的には、大体これくらい。

フォックスフェイス レモンみたい

この大きさ・形・色は、なかなかに強烈な印象を与えます。存在感の大きい花材です。

上の画像の実は、レモン型に蛸足みたいな突起が出ていますが、突起無しの実もありまして。

フォックスフェイス レモンみたい

これだと、「レモンでしょ」と言う人を責められない気がします。

フォックスは、大体上の画像のような濃い黄色をしているものですが、たまにまだ若い実で、緑色を含むものもあります。
↓こんな色です。

フォックスフェイス レモンみたい

これはこれで、私は好きですね。なんか、爽やかな感じがするので。

フォックスフェイスがナスの仲間である気配は、下の画像の「ヘタ」のあたりを見ていただくと、なんとなく感じられると思います。(もうちょっとヘタを見せて撮ればよかった)

フォックスフェイス

うちの本サイトには、フォックスフェイスの実を切り開いた画像がありますので、そちらもごらんください→フォックスフェイスの種をまく
実の中は、白くてパフパフのクッションみたいになっています。

フォックスフェイスの枝

花材としてのフォックスフェイスの魅力は、実の面白さが主になります。枝は、太さはあるのですが、ズドーンとした棒っきれみたいな感じで愛想が無く、肌も汚くなりやすく、面白さを追求するには役不足であることが多いです。
しかし、今回のような長さのあるものだと、さすがに力強さが現れてきます。

フォックスフェイスの枝

この強さ、「つまらない枝だ」と断ずるのは惜しいと思います。

こんなに太いんですよ。ナスのくせに。

フォックスフェイスの枝

で、私はこの長く、太い、ナスのバケモンをどうしようかと思いました。
このフォックスフェイスは、一ヶ月近くもある場所で生け花展示したものを引き上げてきたものでして、さらに別の場所での使用に耐えられる状態ではありません。
立派に見えても、家で飾るか、生け花のお稽古に持って行って使用するかくらいしか使い道はありません。

私は、この長さに鋏を入れるのがイヤで、お稽古に持って行くのは断念しました(こんなもん、持ち歩けません)。
そうすると、家の中でどうにかすることになるのですが……

……とりあえず、こうしました。

フォックスフェイス 切花

ドライアレンジならば、これだけでも十分な迫力です。てゆーか、一般家庭で、これは反則レベルの巨大さです。(これくらいの大きさをなんとも思わないあなたは、草月の人ではないですか? 感覚麻痺が進んでますよ!)
もちろん、ここに何か足して「生け花大作」にすることもできます。入れるものに応じて、フォックスフェイスの形も、長さも、好きに変えていけばいいので、「暫定的な骨格」として便利に使えます。

フォックスフェイスの切花は、水要らず

上の項で「暫定的骨格」を作っている器には、水を入れていません。
フォックスフェイスは、水無しでイケます。むしろ、水につけると軸が腐ってぐずぐずになり、最悪、実の重さで折れてくることがあります。そういうところは、木質化しているけれど、しょせん「ナスの大きいやつの茎」なのです。本当の樹木の枝とは違いがあります。

フォックスフェイスの実だけ飾るのもアリ

枝からフォックスフェイスの実だけを取った状態でも、一ヶ月くらいは十分きれいな状態を保ちます。
私は、生けている間に切り落としたり、あまりよくない枝から救出したりした実を、とりあえず捨てずに取っておきます。

フォックスフェイス レモンみたい

フォックスフェイスの実は、その辺に置いとくだけでも「面白物体」として楽しいやつなので、一個だけでも私は捨てません。
上の画像のように、いくつも取っておくと、何個か持ってお稽古に行くこともできるし、「来年の草月展で、フォックスフェイスの実だけで何かやってみよう」などと思いついたときに、すぐ実験ができますので、捨てるなら汚くなってからでいいじゃないかと思います。