黒足つき花器

2023年10月5日

※花器カテゴリは、管理人が自分の所有花器を管理するために作成しているものです。(何らかの方法で管理しないと、持っているのを忘れることがあるので)


これは多分、私が生まれて初めて「いけばな」を生けた花器だったと思います。

いくらだったのか、どこで買ったのか、私は知りません。伯母のお古をもらったからです。伯母の娘時代のものですから、だいぶ昔のものですし、母の実家の財力を考えると、底辺の安物だろうと思われます。ゆえに、年代的には骨董と呼んでもかまいませんが(骨董の定義はあいまいで、50年以上たったら骨董、と言っている古物商もいます)、価値を考えると「使わなければゴミ」になるやつで間違いありません。

ところがどういうわけか、私の自宅教室に通ってくれているお弟子さんには、これが結構人気があります。生けやすいんだそうです。
おかげで、私はおばちゃんから相続した安物古物を、ゴミにしないで済んでいます。

あんまし大事にしていないので、剣山の跡がばっちりついています。伯母が付けた跡なのか、私が付けた跡なのか、もうわかりません。

この器は、考えたら伯母の形見です。ほかに、何も物を遺されていないので、これが唯一の形見です。使うのが供養ってものなのでしょう。

この器は、元の持ち主を見送り、第二の持ち主(私です)をも見送るのかもしれません。このような、「安い・古い・大してきれいじゃない」器は、しぶとくしぶとく最後まで割れないの法則、というものがあります。

私を見送った後は、さすがにもうゴミでしょうね。
いやでも、わかりませんね。業者に回収されて、リサイクル屋にでも並んで、気まぐれに買った人の家で「しぶとく最後まで割れない」でいて、その人の姪の手に渡ったりするのかもしれません。