ドライ・ベアグラス
自家製のドライ・ベアグラスです
家で作ったドライ・ベアグラスです。(生の状態の画像は、ブログのこちらの記事:ベアグラス に貼ってあります)
ものすごく、動きのあるところがいいでしょ? 動きをつけようと思ったら、あまりお行儀良く並べずに、わさわさに乱した状態で乾かすのがコツです。
ドライのベアグラスというのは、非常に簡単にできます。水から離して、適当な場所に置いといて乾かすだけです。
私がよくやるのは、「水の入っていない壷に入れ、そのまま完全に乾くまで放置」という方法です。色が黒くなったりすることはあまり無いですが、もしもなったら、その部分だけ切ればいいやという、きわめていい加減な考えでやってしまいます。
ベアグラスのドライは、やんちゃな線の方が面白い
生のベアグラスは、勢いのあるスラッとした線が魅力です。細くて、軽い葉っぱなのに、どこか硬質な強さも持っています。そのような、生のときのテイストは、ドライになるとどこかへ行ってしまいます。しかし、代わりに上の画像のような、
- 躍動感
- 柔らかな線
- ふわっとした軽さ
などの、別の味わいが出てきます。
植物じゃなくても、水分を含んだものを乾かすと、乾くほどによじれたり反り返ったりすることがあるものです。ベアのドライは、まさにそれで、直立していた人が踊りだしたくらいの変化があります。
一本一本の線に注目してみると、こんなによじれています。
↓ ↓ ↓
私は、「せっかくドライにするなら、ドライならではの表情を強調した方が面白い」と思うので、ベアを乾かすときには、なるべく線が暴れるように仕向けます。
口の狭い器で、立たせて乾かすと、仕上がりも突っ立っている感じになるので、口の広い器に入れて、だらしなくベローンと広げて乾かしたりします。上に、すごく軽い物体を乗せて、「ベアが折れるところまではいかないけど、重さでどんどん寝てくる」くらいの負荷をかけて乾かしたりもします。たまに、手でワシャワシャっと荒らす、というのもよくやります。そうすると、一番上の画像みたいに、荒ぶったドライ・ベアができます。
もしも、「私は、もっと直線的に乾かしたい」と思うなら、私のような「荒らす方法」の真反対の方法で乾かすといいでしょう。
乾燥で踊らないように、紐でまとめるとか、紙で巻くなどして(通気性を損なうと、黴るかもしれないのでご注意を)、立てずに横にして、棚の上にでも置いておくといいのではないでしょうか。もしくは、葉の先端に洗濯ばさみか何かつけて吊るして乾かせば、重みで直線になりますから、ほぼまっすぐに乾くのではないでしょうか(実践したことは無いです)。
ちなみに、下の画像は、「荒らして乾かしたもの」(左)と、「特に荒らさず吊るしただけで乾かしたもの」(右)を並べてみたところです。
これだけ動きが違うと、素材としての印象がかなり変わってきます。
ドライ・ベアグラスは、色がきれいなうちに使った方がいい
どんなドライものでもそうなのですが、ベアグラスも、色がきれいなうちに素早く使うほうがいいです。乾かしたばかりの薄グリーンの方が、黄色っぽく褪めた色より美しく使える可能性が高いです。(褪めた色でこそ面白いような作品ならば別です)
色がきれいに保てる期間は、作った季節にもよりますが、半年くらいではないかと思います。うまく保存すると、半年以上きれいに保てることもあるかもしれませんが、1年はさすがにキビシイですね。軽快に作って、軽快に使うべき素材です。
色は、結局「乾きたて」くらいが一番きれいです。展覧会用にドライ・ベアを作るような場合は、あまり早くから作ってしまうと、きれいな盛りを逃すことがあるので注意しましょう。ちなみに、たとえば11月上旬に展覧会があるとすると、私なら9月末頃に入手して乾かしはじめると思います(その年の気温などにより、多少変えると思いますが)。
良い生ベアが、良いドライ・ベアを作る
これも、ドライ素材に共通して言えることなんですけど、元の素材がよければ、ドライにしたものも美しく、勢い良く、力強いものに仕上がります。バラだって、スターチスだって、みんなそうなのです。
良いドライ・ベアを作ろうと思ったら、良い生ベアを入手したときに作るのが良いです。私は、よくお稽古で使った生ベアをドライにしますが、「なんだこのショボいベアは……」というときには作りません。
「きれいじゃないドライ素材」というものは、正直ゴミみたいなもんです。ゴミ・ドライにあまり親しむのはキケンなことで、大してきれいでないドライ素材を容認する癖が付きかねません。必要あって「ゴミみたいなドライ」を作るときには(私も、実験用とかリハ用でなら作ることもあります)、その点をよ~く分かった上で作るようにしましょう。
ドライ・ベアは、生ベアよりも場所を取る!
普通、乾燥させたものというのは、水分を奪われた分だけ嵩が減りますよね。でも、ベアグラスは、乾いたときの方が、見かけ上は嵩が増えます。
いや、本当は厚みも幅も乾けば減るんですけど、線が暴れだすので、生ベアみたいに「紙に巻いてしまえば棒状になる」というわけにはいかなくなるのです。再度、一番上の画像をご覧ください。このベアは、展覧会用に仕入れたロングサイズなので、普通よりも長い葉っぱがひゅんひゅん踊り、乾かしている最中は、それはそれは邪魔でした。
実は、現在でもまだまだ邪魔でして、ゴミ袋に入れて資材の一番上に乗せていますが(物を乗せるとつぶれてしまうので、こいつを一番上にするしかありません)、人様には多分ゴミにしか見えないのだろうと思うと悲しくなります。
↓こんなことになってます。
70リットルのゴミ袋なので、相当大きいです……。
ゴミ袋の中に、こんな風に入っているわけですが……
ある程度の余裕を持たせないと、葉がペっちゃんこになったり、折れたりするので、嵩を小さくできないんですよね~。いっそ、袋に入れないでむき出しにしておこうかと思うこともあるのですが、そうすると埃がたまるので、結局いつもゴミ袋のお世話になります。
ドライベアは、既製品もあるが……
ドライ・ベアは、花資材屋やドライ花材ショップで売っているものを入手することもできます。
しかし、私は「自分でいつでも作れる」と思うので、既製品を買いたいと思ったことがありません。
それに、既製品のドライ・ベアは、私の作るドライみたいには踊ってないんです。大暴れしている既製品のドライ・ベアを、私は見たことがありません。恐らく、あまり暴れさせてしまうと、製作・流通の過程で色々大変なんだろうと思います。
なので、自分で好きな加減に暴れさせられる自家製のドライ・ベアが、私は一番好きです。
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