パイナップルの再生(水栽培→挿し木)

2020年3月19日

あるとき、個人の方の運営するブログを見ていて、
「パイナップルを食べるときに、切り落としたクラウンを水につけると、発根して水栽培できる」
という記事を読みました。

そのときに、
「私もパイナップルの水栽培からの再生、やってみよう!」
と、すぐに思いました。上記の記事を読みながら、ずっと以前に読んだ、パイナップルの生産者さんの書いた文……「パイナップルはとても強い植物で、簡単に挿し木で再生できる」……という文を思い出したからです。

つまり、パイナップルは、根出しが容易な植物なのでしょう。だったら、失敗する確率はとても低いはずです。しかも、パイナップルの頭の部分なんて、ゴミになるところなのですから、どれだけ失敗したとて、何も私の損にはなりません。気楽にトライできるってものです。

と、いうわけで、ブログの記事を読んだ数日後には、私は丸ごと一個のパイナップルを、近所の八百屋から買ってきました。

最初の「パイナップル再生チャレンジ」は、失敗に終わった

「失敗したって損にはならない」とか言いながら、その実私はものすごく簡単に成功するようなつもりでいました。とにかく「根出しが容易」な植物は、こっちにその気がなくても、勝手に根っこを出してくるようなことが多いからです。

で、基本的に「失敗は無し」くらいの気持ちで、近所の八百屋に行って、クラウンの部分が威勢の良いパイナップルを選んできました。

下の画像は、そのときのパイナップルの全身像です(切ったところの画像は撮りませんでした)

パイナップル

このパイナップルを、いつも食べるときのように、クラウンと実の境目のところからざっくり切り離しました。そして、切り口のところを水に漬けておきました。

しかし。2~3日もするうちに、クラウンの緑の葉先のから、茶色く枯れてきまして、私は
「あら、意外にも失敗ちゃった」
と思いました。切り口のところを確認しましたが、2~3日という短い時間ですから、発根の気配も無く、ただもう水を吸い上げる力が無くて枯れてしまったように見えました。

でもまあ、1回くらいの失敗ではめげたりしません。またパイナップルを食えばいいんですから。

二回目のパイナップル再生も、失敗だった

私は、1回目の失敗をしてから数日後に、またパイナップルを買ってきました。本来は、うちはそんなに短いサイクルでパイナップルを買う家でもないのですが、やはり「パイナップルの根出しをさせたい」という気持ちが盛り上がっていたのでしょう。

二回目は、前よりも慎重にやろうという気持ちが少し発生していたので、パイナップルの選び方も少し変えてみました。
一回目は、葉っぱがビュン!と勢い良く見えるものを選んだのですが、二回目は、葉っぱに勢いがあるのに加えて、「クラウンの先を切り落としたところから、新たに芽が伸びだしているもの」を選びました。要するに、再生能力が強そうなやつをゲットしようとしたのです。

下は、そのときに選んで買ったものです。真ん中から、芽が出てきていますよね。

パイナップルのクラウン

このパイナップルを、前回同様、実とクラウンに切り離しました。

下のように、クラウンを切り取りました。

パイナップルのクラウン

すごく立派なクラウンでしょ。
でも、この見るからに立派なクラウンも、発根に到らなかったんです。なんと、一回目よりも速やかに枯れてしまいました。昼間に買ってきてクラウンを切り落とし、水につけたものが、その日の夜にはもう茶色くチリチリに枯れ始めました。

ここに到って、私はやっと、
「そんなに簡単にはできないかもしんない」
と気付いたのです。

パイナップルの再生にトライする仲間が続出……でも、みんな失敗

私は、二回パイナップルのクラウンを水栽培して発根させようとし、失敗して枯らしたことを、うちのいけばな教室に通ってくるお弟子さんたちとおしゃべりしているときに話しました。お弟子さんたちの中の数人は、私が実際にクラウンを水につけていたのを見ていて、「育つといいですね~」という会話もしていました。

しかし、私は二回も失敗し、そのわりに、
「本来は簡単に発根する可能性が高いと思うんだよねー」
といい続けていたので、お弟子さんたちの中から三人も、
「私もやってみる!」
という仲間が現れました。三人も現れたのは、うちのお弟子さんたちに探究心の旺盛なやつらが多いこともあるでしょうが、お金がかからないことと手軽であること、つまり「パイナップル食べるときのゴミを、水に挿しとけばいい」ことが大きかったように思います。

結果的には、私に続いてチャレンジした三人は、1人も根出しに成功しませんでした。しかも、
「その日のうちに枯れた」
「翌日には枯れた」
という惨憺たる結果で、私の初回のチャレンジのときのような、「2~3日持った」という例さえありませんでした。

これらのことを総合するに、やはり当初私が思っていたほどに簡単なものではないことが浮き彫りになってきました。

パイナップルの再生について、やっと「下調べしよう」と思った

このまま何度も適当にトライしても、どうやら枯れるばっかりだな、と気付いてきた私は、
「ちゃんと下調べして、成功する可能性が高い方法で、もう一回だけ試してみよう。そして失敗したら、またそのうちパイナップルを丸ごと買いたくなるときまで、チャレンジを封印しよう」
と決めました。

下調べは、主にネットで行いました(パイナップルの栽培法を書いた本はあっても、挿し木の情報を書いた本は見つからなかったので)。
個人の方のガーデニング系ブログが、一番情報が多く、成功例の画像を何度も見ました。しかし、水栽培や挿し木の具体的な方法や、注意点を書いているブログはほとんど無く、みんな、
「切って、水に挿したら、こんなに発根しました」
「切って、土に挿しただけでうまくいきました」
という程度の記載しかありません。

その中で、唯一役に立ちそうな「クラウンに、パイナップルの芯が少し残るくらいに切って挿す」という情報を、あるブログで見つけ、そのやり方で三回目にトライすることにしました。

芯が残るように切るというのは、要するに、このあたりから切るということです。
↓ ↓ ↓

パイナップル 挿し木

クラウンに、実が付いた状態にするわけですね。

↓こんな感じに切りました。

パイナップル 挿し木

でも、このまま水につけると、実の部分が腐ってどろどろになるに決まっているので、芯を残して実は取り除きました。

↓要するに、こういうことになります。

パイナップル 挿し木

正直、これでも「腐ってカビも出て、大変なことになるのではないか」と思わないでもありませんでした。そうなったら即刻捨てるつもりで、画像のように切ったパイナップルを、口の広い器に挿して、水につけました。

三回目の再生チャレンジも、失敗したかに思えたが……

私は三つ目のチャレンジとなったパイナップルのクラウンを、水に挿しておきました。

結構口が大きくてクラウンの重さに耐えられる器を探した結果、下の画像のような、やけに和風の器に挿すことになりました。

パイナップルの葉先が枯れる

上の画像のパイナップルの葉先が、茶色く枯れ始めているのが分かると思います。
このパイナップルは、買ったばかりのときには、こんな風に茶色くなってはいませんでした。実から切り離して、2~3日経つうちに、このように枯れ始めたのです。私はこの様子を見て、
「順調に枯れていってる……」
と思いました。正直、三回目も失敗したと思ったのです。初回のチャレンジのときには、このように茶色く枯れてきて、ついに半分以上も枯れてしまって捨てたのですから。

しかし、今回のパイナップルは、これ以上に茶色くなることがありませんでした。上の画像のような状態で、一週間ほども「現状維持」で踏みとどまっていました。
それでも私は、「枯れ方が遅いだけだ」と思っていて、まったく楽観しませんでした。それでも捨てなかったのは、クラウンの先端を切り落としたところから、新しい芽が出ていて、そいつがかすかに育ってきている気配があったからです。

パイナップル 挿し木

↑画像の真ん中の部分の、小さな芽が、私に「もうちょっと観察してみよう」という気を起こさせました。結果的には、ここで捨てなくて正解だったのです。

一週間以上たち、ついにパイナップルから発根!

私は、「捨てるかな~、どうするかな~」と思いながら、一週間以上パイナップルを観察しました。
そして、毎日見ているうちに、小さな芽が「育っているっぽい」ではなくて、「明らかに育っている」ことを知り、しかも葉先の枯れるのが完全にストップしているのを知り、
「ついに成功したかも!」
と思い始めました。

その予感は、数日後に的中しました。一本目の発根が確認されたのです!

パイナップル 挿し木

↑白く、横に飛び出しているのが根っこです。ここまでにかかった日数は、2週間くらいだと思います(うろ覚えですみません)。

上の画像を撮った数日後には、ここまで発根が進みました。

パイナップル 挿し木

ここまでくれば大丈夫だろうと思い、私は小さな鉢にパイナップルを植えました。

パイナップルの挿し木

↑枯れた葉先をカットしたので、なんだか散髪に失敗したみたいになってます。使用した土は市販の培養土で、鉢底にニームケーキを入れてあります。
私は、「日本の冬を、水栽培のままパイナップルが生き抜けるわけが無い」と思ったので、最初から、水栽培で発根だけさせたら、土に挿し木するつもりでいました。

鉢に挿し木したパイナップル

鉢に挿し木したパイナップルの画像を、撮った順にアップしようと思います。
申し訳ないことには、画像の撮影日の記録を消してしまったので、「多分、何年頃」みたいな書き方になってしまっています。(その記憶も、かなりあやふや……申し訳ありません)

↓2009年の秋だと思います。

挿し木のパイナップル

パイナップルの水栽培にトライし始めたのが、2009年の夏なので、年は間違いないです。水栽培から挿し木にして、ベランダに置いていたものを、秋になって屋内に入れたときにとった画像だと思います。

↓2010年の夏……だと思います。

挿し木のパイナップル

ベランダで、夏の日差しを浴びさせて、結構大きくなったぞ、というタイミングで撮ったように思います。
↓多分、これも2010年の夏です。

挿し木のパイナップル

新しく葉っぱが出てくる様子を撮りたかったんでしょう。

一年たったころの挿し木パイナップル

↓2010年の、夏の終わりごろだと思います。

挿し木パイナップル

急成長! ある日気が付いたら、ものすごく大きくなっていて、「感無量だなあ」と思って撮った覚えがあります。

葉先が枯れて心配したこともありました。

パイナップルの葉先が枯れる

屋内で撮っているので、2010年の冬だと思います。急に葉先が枯れてきて、「大丈夫か?」と思ったときの画像です。
このときは、特に枯れることを改善するための手段は講じませんでしたが、ただ静観していたら、幸いにもこれ以上枯れることはありませんでした。
なので、急激に葉先が枯れた原因は不明です。

↓2011年の夏です。

挿し木パイナップルの葉

やけにトゲトゲの葉っぱが出てきたので、「株が大きくなってくるとこうなるのかなあ」と思っていたのですが、なぜか、トゲトゲだったのはほんの一瞬の間だけでして、その後ここまでトゲトゲした葉は出ませんでした。
これも、何の原因でこうなったのか不明です。

2012年の、うちの挿し木パイナップル

↓2012年6月3日

挿し木パイナップル

ほとんどの葉は、前年に出たもので、傷んだ葉先を屋内越冬中にカットされています。

2012年になってから出た葉は、下の画像のようになっています。

挿し木 パイナップル

葉先をカットされていない葉が、2012年夏に増えた葉です。随分、葉っぱが出てるものなんですよね。
クヌギの葉とか、ノバラの葉などは、新しいものが枝の上で開くので、「ああ、葉がまた出た」とすぐに分かるのですが、パイナップルの葉は、じりじりとせり上がってくるので、増えている最中には、あまりそれを実感できません。

この後の挿し木パイナップルの成長は、このブログで随時アップしていく予定です。