偽装してやろうかと思う
一年たちましたね。
さっき、ヤフーのニュースを見てきたところによれば、「岩手・宮城の漁船復旧は22%」だということです。かなり厳しい数字です。
東北の花業界でこのような数字を出したら、何%になるのか私は知りません。さすがに22%ということは無いだろうと思います。
これは、「品物の出荷状況から、22ってことは無いと思う」だけであって、たしかな根拠があるわけではありません。しかし、東京の市場は、いまだに「東北からの出荷は、読めない部分が多々ある」感じでして、普段なら「確実に入ります」と言える品物が、「今年はちょっと分かりませんね……」になるケースもあります。
普通に花買ってるぶんには、あまり「東北の影響」って感じないでしょ? でも、売る側には、歴然とした差が感じられます。
地震の影響で、花の商売は一時期かなり落ち込みました。去年は、3~4月は、とにかく全然品物が動かなくて、しかも再び動き出す気配がまったく現れず(これが一番つらかった)、私は思い余って花以外のバイトに手を染めたほどです。私、4月の月収は……5万くらいじゃなかったかな。
5月の母の日の商売が、意外にも例年と肩を並べられる売り上げになったと聞いたときには、「ああ、花屋全員首をくくらなくていいんだ」と思ったものです。
東京で、この有様でした。被災地の思いはどれほどかと思います。
しかし、東京の花も、そう喜んではいられなくて、一度落ち込んだ商売は、盛り返してきたと言えども、地震の前に比べたら8割くらいまでしか戻っていないと思います。2割はどっかへ行ったままです。私は、この2割が二度と返ってこず、現在の数字が維持されていくことになるんじゃないかと疑っています。
東北の、市場の復活は、非常に早かったです。早かったし、なんだか恐ろしく気迫に満ちていました。要するに、走れる人が全員ためらわずに走り出したのでしょう。
今回の震災は、原発の問題がありましたから、花卉業界でも、「東北産のものが売れない」ということはありました。
私は、個人的に「東北の切花」を気にしたことはありません。しかし、気にする人は絶対にいるわけで、産地を聞いてくる人に、
「愛知産です」
とか言っちゃえ、と何度も思いました。しかし、それはそれで誠実なビジネスではないと思い、「偽装」を決行したことはありません。
最近知ったことですが、東北産の「あれ」を買いたくないという人がいるらしいです。
「あれ」は、「花ビジネス」の世界の商品でして、はっきり商品名を書くと「じゃあ私も買うのやめる」という人が現れるとイヤなので、ここには書かないことにしますが、よくそんなことに思い到ったなあと思います。
考えあって、理性的に判断して「東北産のものは拒否する!」と言われてしまうと、「それでも買え」とは言えないですけど、なんとなく雰囲気で買わない人っているでしょ? あれは何なの? 原発の特番見た翌日だけ東北産を避けても、なんのリスクも回避していないじゃん?
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