自由研究ネタ:花の解剖(花の分解)

2022年4月29日

本サイトの、自由研究ネタのページのアクセスが上がってきました。
なるほど、8月も中旬にさしかかってきましたからね。自由研究をどうやってやっつけるのか、皆さんお考えなのでしょう。

実を言いますと、自由研究ネタのページで、「そのうちアップします」と予告したまま、忘れきっていた記事があります。
「花の解剖=花の分解」というのが、それなんですけど、自由研究関連のアクセスが増えてきたために、思い出しました。

そこで、花の情報局版:今年の自由研究、やらせていただきます。

この記事は、自由研究は、能動的な作業と、発見の驚き・ヨロコビに満ちているべきである!という、文科省特選級の高き思想で書いているので、体裁を整えることよりも、興奮を伝えることのほうに重きを置きました。しかも、ところどころに大人視点の注釈など入れているので、このままコピペするとばれますよ。良い子は気をつけよう!

自由研究は、動機から書く

私なら、花の解剖の自由研究を、こんな風に始めると思います。

「いつも、お花が身近にあるので、お花の研究をしようと思いました。」

研究に着手した理由を書くときは、このようにありのままを書けばよいと思います。
たまたま手近にあったから、というような理由を、くだらないと思う必要はありません。今目の前にあるものに、注目するべきポイントを見つけられるのは、すばらしい能力です

カーネーションの花を解剖する

カーネーションの花を、解剖しようと思います。

自由研究 カーネーションの花を解剖する

研究対象とする花は、カーネーションくらいの、安価でみんなにおなじみのもので十分。もしも、手元にとても変わった花があるなら、それを利用しても面白い。もちろん、買った花ではなくて、採集してきた野の花でも良い。すべてを自分の手でやろうとするなら、むしろ採集した花のほうが良いと思います。

花の解剖に着手します!

今回、私が「花の解剖」の材料としたのは、こんな大きさのカーネーションです。

要するに、すごく普通の大きさのカーネーションです。

花の解剖の研究手順1 カーネーションの花弁をはずしてみた

まずは、カーネーションの花弁を全部はずしてみました。

カーネーションの花弁 カーネーションの花を解剖する自由研究

カーネーションは、こんな形の花弁が集まってできてるんですね……。

手のひらにおさまるような大きさの花でも、このように花弁が多い花だと、全部取るのに根気が要ります。
また、私はこれをポプリにしたりするので、無駄にはしないのですが、普通の家だとただただ花一輪が無駄になってしまいます。そう考えると、やはり研究対象は、その辺の雑草で十分なのかも。

はずした花弁を数えてみたら、なんと66枚! 結構多い! ということは、タンポポなんかは、小さい花だけど、あれで相当花弁が多いはず。ほかの花弁が多い花も、色々数えたら面白いかもしれません。

花の解剖の研究手順2 花弁の色・形に注目

一つ一つの花弁にも注目してみましょう。
まず、この花の場合、模様が面白い。

カーネーションの花弁 花の解剖の自由研究

こういうのは、何模様というんでしょう?
カーネーションで、こういう模様は珍しいんだろうか? ほかの花で、こういう模様のものはあるのか?

見たものに対して、疑問を持つことがあったら、全部メモしておきましょう。その中の、解決できそうな疑問は解決していくと、自由研究に厚みが出ます。
解決できない疑問の提出だけでもいいと思いますよ。学問は「なぜ?」が重要ですから。

↓花弁の表。

カーネーションの花弁の表側 花の解剖の自由研究

↓同じ花弁の裏。

カーネーションの花弁の裏側 花の解剖の自由研究

表と裏で違うところって何だろうと思って観察すると、意外にも、表に無い斑点が、裏弁に現れていたりする!
そういえば、表弁と裏弁が違う色の植物ってあるけど、あれは、何のわけがあってああなってるんでしょうね。それぞれに、合理性がきっとあるんだと思うけど。(人間が、「きれいだから」という理由で、裏弁の色を変えた改良種は、また別の話です)

花の解剖の研究手順3 花弁の大きさに注目

分解したパーツに、注目したい部分があるなら、一つ残らず注目して、それを研究の中に入れ込むといいです。

というわけで、一番大きい花弁と、一番小さい花弁を比較してみた!

カーネーションの花弁 花の解剖の自由研究

なかなかすげー違いだった!

花の解剖の研究手順4 変わってる、と思うものに注目

↓妙な形の花弁ばかり集めてみた。

カーネーションの花弁 花の解剖の自由研究

もしも、全部の花弁がこんな形だったら、花の顔が変わるでしょうね。もしそうだったら、どんな顔になるんだろう。

こういうことは、見たまんまの観想ですが、重要な感想です。花のブリーダーさんは、そういうことを考えて品種改良しているのですからね。こういう思いから、カーネーションの概念を覆すような品種が生まれるかもしれないのです。

さて、花弁はこのくらいにして、次項からは花弁を取った後の部分にも注目してみましょう。

花の解剖の研究手順5 おしべ、めしべに注目する

カーネーションの花弁をすっかり取ってしまったあとは、このようにからっぽになります。

カーネーションのおしべとめしべ 花の解剖の自由研究

※ここから先の分解は、実は私も初めて見る領域に入っていきます。花弁をむしるところまでは、何度もやってるんですけど、しべの分解なんて、する機会が無いもんで。

カーネーションのおしべとめしべ 花の解剖の自由研究

花弁に広げられていたカーネーションのがくをとじると、つぼみのときの姿に戻ります。(しべが飛び出してるけど)

そして、がくを全部取ってみました。

カーネーションのおしべとめしべ 花の解剖の自由研究

なんじゃこりゃ~~~。
でも、ホントはこれがカーネーションの心臓部なんですよね。美しい花弁は、すべてこの部分のためにあるのです。(切花なので、結実できない「心臓部」ですけどね)

さらに、分解していきましょう。

カーネーションのおしべ 花の解剖の自由研究

↑カーネーションのおしべです。一部に、花粉の付いていないものがありますが、花弁を取っている最中に取れてしまったと思われます。

おしべを取ったあとのこれは、めしべと子房でいいのかな?

カーネーションのめしべと子房 花の解剖の自由研究

めしべと子房を独立させました。

カーネーションのめしべと子房 花の解剖の自由研究

さらに、めしべと子房を切り離します。

カーネーションのめしべと子房 花の解剖の自由研究

上の画像で、敷いた紙にシミが付いているのが分かりますでしょうか。これは、めしべを折り取ったときに、水分がほとばしったからです。(こういう、植物学的に重要かどうか全然わからないけど、「おっ」と思ったポイントはメモしておいたほうが良いですよ。それが、その人独自の研究というものです)

花の解剖の研究手順6 カーネーションの花の最奥=子房に迫る!

では、ついに、カーネーションの最奥に切り込んでいきましょう。

子房は、こんなちっぽけな部分です。

カーネーションの子房 花の解剖の自由研究

子房を割ってみました。

カーネーションの子房 花の解剖の自由研究

最初は爪で割ろうとしたのですが、固くて割れず、はさみで傷をつけて割りました。そんなに強硬にガードされているとは思わなかった!

子房の中に、粒粒があるのが分かりますか?
これって、本来は種の部分なのでしょうね。

そういえば、ユリとか、アリウムとか、アルストロメリアが結実し始めちゃってるのは見たことありますが、カーネーションの結実なんて、見たことありません。
本来は、上の画像の部分が大きくなって結実にいたるのでしょう。
……知らなかったねえ!!

私、花にかかわること、今年で37年です。それでも、花の世界はまだまだ不思議に満ちています。今、庭で咲いている一本の花の中に、自由研究のテーマくらい、いくらでも潜んでいるはず。

さて、子房の殻を、全部取ってみました。

カーネーションの子房の中 花の解剖

お~~~。とうもろこしみたいなもの登場!

未熟な「種」をばらしてみた。

カーネーションの子房を分解する 花の解剖の自由研究

これらの種を完熟させて、植物は本懐をとげるんですけど、切花カーネは、どんなに大事にしたところで、花瓶の中で結実させることはできませんし、結実したとしても発芽能力があるのかどうか分かりません。

私の自由研究のまとめとしては、
「面白かった」
ですよ。
なかなかやらないですからね、こういうことは。

一番驚いたことは、「子房の固さ」ですね。あんなに固い部分が、カーネーションの花の奥地に潜んでいるとは思いませんでした。
要するに、あそこを守りきることが、カーネーションの使命なんでしょう。私たちが愛している、きれいな花弁の部分は、カーネーションからするとど~でもいいんでしょうね。

自由研究のまとめ方のヒント

人によって、同じ作業をしても、「一番面白かったところ」「一番驚いたところ」は違うのだと思います。
その人の心に一番響いたものを、自由研究のメインのテーマとしてまとめればよいと思います。

今回のように、花の解剖をするのであれば、たった一つの花を解剖し、それを詳しく研究するのも良いですが、
いくつか種類の違う花を解剖して比較してみるとか、
同じ種類の花を、時期を変えて(青いつぼみ、膨らんだつぼみ、開花したばかり、散る間際、など)解剖し、比較してみるとか、
何か一ひねりしてみるのも面白いです。

その他自由研究

Posted by sei