実生の野バラを育てる
いけばなでは、「緑の野バラ」と、「赤の野バラ」を、花材として使うことがあります。
緑の野バラとは、実がまだ緑色の時期の野バラのこと。赤の野バラは、秋くらいの時期に、実が赤く色づいてきた野バラのことです。
私は、秋に赤い野バラを使ったときに、
「これ、ダメモトでまいてみよう」
と思いました。そして、結果的には、ものすごく良い発芽率で(全然ダメモトではなかった)栽培することができ、現在も4株栽培中です。
最初が「ダメモト精神」だったので、あまり手をかけた育て方はしていません。また、野バラのごときは、「その辺の河原で、たくましく育っていけるやつ」だと思い、多少粗雑な育て方でも大丈夫さ、くらいの気持ちでおります。
そのような、真のいい加減ガーデニングの記録を、以下に書いてみようと思います。
こんなにたくさんの野バラの実があった
いけばな花材の野バラは、実の美しさが花材の売り物なので、もちろん実付きの良いものが売られるわけです。そのため、お稽古1杯分の野バラから実を取ると、こんなに採集できてしまいます。
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これだけあると、申し訳ないことには、「大事にまこう」という気持ちがあまりなくなります。テキトウにまいて、運よく1本出てきたら万々歳だなーくらいの気持ちで、種まきしてしまいました。
野バラの実は、簡単に種が取り出せる
私は、無駄にバラの実生ガーデニングを経験しているので知っているのですが、バラの実は、どうも大きいほど中の種が取り出しにくい傾向にあります。
しかし、野バラは、バラの中では最も実が小さい方なので、ごく簡単に取り出せます。
野バラの実は、一つ一つはこのくらいの大きさで……
皮に一ヶ所傷を付けてギュッと押すと、いとも簡単に種が飛び出してきます。
この種を、うちではジフィーカップにまいて、毎日水をやりました。
種をまいたのは、具体的な日にちは忘れましたが、なんでも秋です。11月頃だったかな、という気がします。
野バラの発芽
私は、野バラの種をまいてみたものの、発芽するかどうかについては半信半疑でした。
大体、切花から取った種というものは、発芽能力があるのかどうか、よく分からないのです。それに、野バラの実が、あの程度の熟し加減でよかったのかどうかもよく分かりませんでした(赤くなってるから、大丈夫じゃないかなあ、という程度)。
総合すると、「一本でも発芽してくれたら万々歳だな」と思っていました。
「発芽したらもうけもの」という思想で発芽を待っていた私は、「発芽しなかったときには、どのタイミングで〔失敗〕を認めるか」ということも考えていました。
だって、6月になっても7月になっても、「まだ発芽しないのかなあ」と言いながら水やりを続けるのは、あまりにもアホすぎます。
そこで、「半袖を着るようになっても芽が出なかったら、失敗と認めて諦めよう」と決めました。そのくらい、発芽に懐疑的だったのです。
しかし、野バラは私を裏切りませんでした! 「一本でも出れば」どころか、こんなにたくさん発芽してくれたのです。
やがて、双葉から本葉が出てきました。
この頃に間引きをして、たくさんあった芽を、4本にまで絞りました。
わりと順調に育ってくれた野バラたち
間引いて、4本になった芽を、プランターに2つずつ植えて、その頃から本気の栽培になっていきました。
正直、発芽するかどうかも分からなかった種なので、「育てよう、花を咲かせよう」という思いよりも、「どうなるのか試してみよう」という、実験精神の方が大きかったのです。
しかし、こんな姿を見せてくれるようになったら、「より良く育てたい」という色気が出てきますよね。
↓ ↓ ↓
どうでしょう、この結構充実した葉の茂り方!
ここまで来ると、「わりと立派に育つんじゃなかろうか」という夢までも発生してきます。
しかも、このくらいの大きさになるまで、病気知らずのアリマキ知らずで、無敵な感じで育ってきたので、私は密かに「イケる!」と思っていたのでした。
かなり育った野バラ
で、上の画像から、急にずいぶん育っちゃった画像になるんですけど……。
わりとあっという間に、このくらいに伸びました。この頃の私は、蔓バラは蔓を伸ばしてナンボだと思っていたので、放任主義でびゅんびゅん伸ばしていました(現在は、ベランダのスペースの関係で、蔓性でも、可能ならば刈り込んで木立みたいに仕立てよう、みたいな守りの姿勢に入っております)。
野バラの蔓をどうするか迷っていた
野バラは蔓性のバラです。そして、上にも書いたように、私は「蔓を伸ばしてナンボ」だと思っていましたので、枝を刈り込まずに育てていました。
そうすると、「蔓を何にからませて育てるのか」という問題が生まれます。
私は、支柱みたいなものはなるべく安く済ませようと思っており、なおかつ、どうしても必要になるまでは支柱にしろトレリスにしろ設置しないでおこうと思っていたので、結構な大きさになるまで、支柱も何もなしで蔓を伸ばしていました。
↓これ、支柱無しなんです。
この後に、一時「麻紐で誘引時代」というものがありましたが、実は現在も支柱なしで伸び放題に伸ばしています。
ベランダの手摺を一部利用していますが、手摺のところまでは、自力で手を伸ばしてもらっています。
野バラの越冬
育てていて、最初に不安だったのは、冬越に失敗するんじゃないかということでした。
でも考えたら、その辺の空き地でも育つことができる野バラみたいなものに、
「冬越に失敗して死ぬのではないか、死なないまでも、株が傷むのではないか」
と心配することも無いはずなんです。もっともっと栽培が難しいバラだって、外で冬越しするのが当たり前なのですから、過保護すぎる考えだったのでしょう。しかし、元が切花から取った種なので、「まともに育つかどうか分からん」という思いがあったために、無駄に冬を怖がっていたのでした。
でも、うちの野バラは、4株とも立派に冬を越え、次の年の春には新芽が芽吹いてきました。
いっせいに芽が出てきたときには、新芽の色の美しさと、株全体に勢いがみなぎっているのを見て、「これはもしや、早くも開花が期待できるのではないか」と思いました。その期待がどうなったかと言うと……。
マンションの大規模修繕に、野バラ開花の夢を砕かれてしまった
開花の期待がどうなったかと言うと、思いも寄らぬ外部からの力で打ち砕かれてしまいました。うちのマンションの、大規模修繕が始まったのです。
私は、大規模修繕というものは、ベランダの鉢をちょっと脇に寄せるくらいで済むと思い込んでいたのですが、なんと、ベランダのものを、一切合財撤去しないといけないのですね。当然、鉢物も屋内に入れることになります。
うちのマンションの修繕期間は、4月から7月まででした。この期間に、バラを屋内に閉じ込めて過ごさせるのは、非常に酷なことです。
4~7月って、ガーデニング的には、一年で一番いい季節です。バラは、葉を茂らせ、株を充実させ、開花もさせる時期なのです。その時期に、ろくに陽にも当てずに屋内に入れておくのは、一年を棒に振るに等しいです。広い家で、「サンルームに入れればいいわよね」とか、優雅に言えるならいいでしょうが、わが家は狭いので、結局、玄関に置くことになりました。
↓こんな有様でした。
今から思えば、思い切って強剪定してしまえばよかったのでしょうが、「どこまで切って大丈夫なのか」というような呼吸が、当時はまだつかめていなくて(今なら、相当思い切って剪定できます)、とりあえず、すべてをそっと温存するしかなかったのです。
実質、2ヶ月くらいの間、この状態で育てましたが、陽があたるのが、午後のわずかな時間だけなので、日照が圧倒的に足りません。
足りないのは分かってるけど、家の中のどこにも動かせないので、「頑張ってくれ~」と思いながら静観していました。
日照が足りなくなった野バラは、葉をほとんど落とし、変なもやしっ子みたいなシュートが何本も出てきました。
そして、驚くべきことには、いくつかつぼみを付けたのです!
つぼみの発見は、大変に嬉しい驚きでしたが、私は、葉をどんどん落としていく株に、開花なんぞさせる力は無いと思い、「絶対にこのつぼみは落ちる」と思いました。
そのつぼみ自体が、なにやら病的に白くて、見るからにヘロヘロな様子でして、しばらくしたら、やはり予想通りに茶色くなって落ちてしまいました。
実は、大規模修繕の期間中に、ダメになった鉢物もあるのです。そのため、私は、最悪野バラの全滅も覚悟していました。
しかし、ほとんどの葉を落としながらも、野バラたちは、枯死することはありませんでした。そして、やっとベランダに出すことができるようになると、恐ろしい勢いで復活を遂げました。ワイルドローズ、恐るべしです。
野バラの復活
大規模修繕が終わり、ベランダに出したら、野バラ君たちは信じがたいような勢いで葉を出して、茂らせはじめました。私は、「植物って、こんなスピードで葉を茂らせることができるんだ」と感心したのです。感心どころか、ちょっと引くくらいに驚いたのです。
なんとまあ、ほぼすべての葉を落としていた株が、たった三日でこれだけの葉を茂らせました。
↓ ↓ ↓
でも、この年は、葉を茂らせただけで、ほかに特に変わった出来事もなかったので、画像がこれしかありません。
この次の年には、かなり株が成長しましたので、いくらか多く画像を撮っています。
大規模修繕の、翌年の野バラ
大規模修繕の次の年には、私は早春の頃から野バラの観察を怠りませんでした。去年つぼみをつけたということは、今年も当然付くだろう、ということになりますものね。しかも、去年よりも環境・状態が良いのですから、きっと開花まで行ってくれるだろうと期待しました。
↓2012年3月6日の画像です。
私は、新芽の赤みを帯びた色が好きで、結構しつこく写真を撮っています。
↓2012年3月24日の画像です。
一株だけ、斑入り葉の野バラがある
4株ある野バラのうち、一株だけ斑入りの葉を付けるものがあります。こういうのは、一種の奇形なのでしょうから、本当は真緑の葉っぱが良いのでしょうが、なにやらきれいなので、私は好きです。
もしかしたら、そのうち斑が入らなくなることも考えられるので、画像に残しておくことにしました。
斑入り葉の株は、4株のうちで、一番ヒョロヒョロしている子ですので、「きれいだ」と喜んでいる場合じゃないのだと思います。でも、病気でもなさそうですので、とりあえずこのまま静観します。
三年目春の野バラ
上の項の新芽が育った様子が、下の画像です。
この後、待ちに待った、あのイベントがやってきした。
前年に、マンションの大規模修繕で台無しにされた、「開花」イベントが、リベンジを果たします!
2012年6月4日の野バラ
つぼみの画像は、6月4日に撮ったもののみが残っています。
つぼみの状態では、とても甘いピンク色をしていまして、それが私には意外でした。てっきり、白い花が咲くと思っていたもので。
2012年6月5日の野バラ
つぼみが、そろそろと開き始めました。
ここまで開いてくると、ほとんど白い花に見えますが、よくよく見ると、花弁の縁のあたりは、ほんのりとピンク色を含んでいます。
この翌日には、完全開花しました!
2012年6月6日、野バラが開花しました
開花でテンション上がって撮った画像です。後先考えずに撮ったので、同じようなカットが並んでます。今思えば、もっと色んな撮り方をすればよかった……。
テンション上がりすぎて、開花の数を覚えていません。でも、3日くらいにわたって、10個以下の花数だったと思います。
開花後の野バラ
三年目にしてようやく咲いてくれた野バラの姿を、私は堪能しました。4年目は、もっと多い花数で、長い期間に渡って楽しめるといいなと思っています。
下の画像は、花が終わった1ヶ月後くらいのものです。
お日様をたっぷり浴びてもらって、来年も開花してもらいたいものです。
野バラの成長の様子は、引き続きこのブログにアップします。
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