自分が使った花材事典:夏ハゼ

2022年10月8日

夏ハゼは、夏の間の稽古花として、とてもお世話になっている枝ものです。持ちも良いので、展示花にもよく使っています。

夏ハゼ……緑・実付き

緑の葉っぱと、小さめの実がついた夏ハゼです。

夏ハゼ

夏の間、安価に手に入る、豊かな緑の枝ものは貴重です。

実は、結構たくさんついていましたが、まだまだ若い実です。

夏ハゼ
夏ハゼ

個人的な好みで言うと、もっと成熟した実、まん丸で黒くてコロコロした実の方が好きです。
しかし、枝つきと葉の茂りは値段の割に良かったと思っています。この夏ハゼ、お稽古用に、びっくりするほど安く仕入れまして、包装を広げてみるまで、もと棒っきれみたいなつまらない枝じゃないかと思っていたのです。

夏ハゼは、真夏でもきちんと水揚げすれば、だいぶ長く飾れます。いけばな方面の人間には、とても重宝されているおなじみの枝なんですが、たぶん多くの人が、「夏ハゼ」というくらいだからハゼの木の仲間なんだろうと思っているんじゃないでしょうか。
しかし、夏ハゼはハゼの仲間ではありません。科からして同じではありません。
じゃあなんで「夏ハゼ」なのかと言えば、「夏にハゼの紅葉みたいに葉が赤くなっている」からだそうです(聞いた話なので、諸説あるのかもしれません)。

上の画像の夏ハゼは、すべて緑の葉で、紅葉枝ではありません。しかし、同じ時期に紅葉枝も出回っていました。下の項に、紅葉の方の画像を出します。

夏ハゼ……紅葉・実なし

↓枝先が紅葉しています。

夏ハゼ

この枝は、枝先の方だけの紅葉ですが、もっと全体的に赤くなっている枝も、夏の盛りに出回ります。
人工的に紅葉させて切り花出荷するのではありません。その証拠に、公園などの植え込みの夏ハゼも、ちゃんと7月や8月に赤くなっています。

夏ハゼ

上の項にも書きましたが、夏ハゼは花を生ける人にはおなじみの花材です。
長さが出せる、比較的安価、真夏の高温期にも使える、緑の葉がたっぷりつく、紅葉も見られる、和にも洋にも対応可、初心者にも扱いやすい。……なんて優秀花材なんでしょうか。

でも、優秀すぎて、うっかりすると「夏場はこればっかり」ということになってしまうことがあり、使いすぎて嫌いになる人がいます。
お稽古だと、教室の先生や、花を収める花屋さんが気を使って、連続的に夏ハゼをいけることを回避するものですが、店舗生けこみなどの仕事をしていると、ホントに毎日こればっかり生けることがあります。
7~9月の間、夏ハゼとドウダンばっかり、というのは、割とよくあることです。
夏ハゼ・ドウダン・夏ハゼ・ドウダン・夏ハゼ・ドウダンのエンドレス攻撃が始まると、「暑い夏が来るなあ」と思います。