自分が使った花材事典:赤たまねぎ

2019年3月5日

スーパーなどでは、「紫たまねぎ」の名で売っていることも多いです。


花材っていうか野菜だろ、って感じですが、いけばな展覧会の会場では、意外に多くの野菜を見かけます。

実際に、私は赤たまねぎを草月展で使ったことがあります。そのときは、白いたまねぎと、赤たまねぎを混ぜて使いました。

野菜が生け花に使われる理由としては、「一般的な花には無い面白さを持っている」というのが、一番大きいと思います。
私も、「丸くて、表面がテラテラして、安くて、ある程度の大きさと存在感があり、水に浮くもの」という要件を満たす切花が存在したなら、わざわざたまねぎを生けようとは思わなかったでしょう。

野菜というのはどういうわけか、生けてみると、「食材」だったときとは一味違う「かわいげ」みたいなものが現れることが多いです。
野菜を生けるときに、意外に危険なのは、「うまそう」に見えちゃうことです。食材である「お里」があからさまだと、ダサいというか、見てて冷めるというか、何か場違いなものを感じさせたりします。

しかし、「うまそう」な感じが、いけばなとして良い方に転ばないとも言い切れません。「うまそう」なものに、人はわりと敏感に反応します。多分、生物として、そう反応するように作られているんでしょう。
私は、柿や栗などの、実が付いた枝物を使ったいけばなが、非常に一般の方の目を引くことを、長年にわたって体感してきました。それは多分、根本のところには、「うまそうなものへの反応」が関わっているんじゃないかと思うのです。
だから……「食うことしか連想しない」ような事態にさえならなければ、「うまそう」な要素も、いけばなとしては邪魔な要素ではないのではないか……と思うのです。