ついに七夕も変わってきたな、という話

少し前からうすうす感じてはいたけど、ついに七夕も変わってきたな、という話です。
「七夕用デコの笹鉢」が結構買われるようになってきました。花屋で、小さめの笹竹鉢に、短冊みたいなデコレーションをつけて七夕仕様にしたものを売っているんですが、私は少し前まで「気持ちはわかるが、こんなの買う人いるんだろうか」と思っていました。でもこれが、ついに普通に売れ出したな、と今年ははっきり感じました。

あ、すごく売れてブーム到来、とは思っていないですよ。2~3鉢仕入れても売れ残らないだろう、くらいの感じになっている、という感触です。一つ売れたら万々歳、という領域から抜け出してきているんです。
私としては、「昔、ハロウィンのカボチャがこんな感じだったな」と思っています。

昔々、七夕の笹なんぞというものは、その辺から切ってきてOKなものでした。
しかし、今の都会ではささやぶがそもそも無いし、あったところで人様の土地に堂々と鋏を持って入って丸ごと一本の笹を切る、なんてできないことになってしまいました。(土地の所有者に許可をもらえるなら、今でも切って良いと思いますよ)

笹の入手が難しくなったので、一般家庭で笹をたてる家は、私の小学生くらいのときにはもうほとんど無くなっていたと思います。
花屋では、昔は「頼まれれば入れる」か、「頼まれなくても、店主の趣味で1本や2本入れる(売れなくても七夕ディスプレイにはなる)」という感じだったと思いますが、近年入荷する店はどんどん減ってきていました。

私が個人のお客様に七夕用の笹を売ったのは、20年くらい前が最後です。個人のお客ではなく、会社・幼稚園・商店会のようなところから頼まれて納品することなら、最近でもあります。が、これも減ってきています。

私は、いつか全く七夕用笹は入荷しなくなるんだろうな、笹は、クリスマスツリーみたいに作り物を使うようになるか、いっそ笹を省略して短冊だけ吊るすようなスタイルが生まれるかもな……とか思っていました。
だから、「七夕デコ笹鉢」が世間に受け入れられそうな気配が、私には意外です。

実際の商品は下のようなものです。

鉢なので、これを育てようというつもりがあって買ってくれているのだと思うのです。そこまでして七夕をやりたい気持ちが人の心の中にはあるんでしょう。七夕が終わったら鉢を捨てるつもり、ではないと思います。(結果的に枯れちゃった、は、あるでしょう)
私が予想していたような、「笹を省略しちゃえ」という発想よりも、「笹を小鉢にして、デコればいいんじゃん?」という方が自然な発想なのかもしれません。

世の中がドライに、合理的になっても、年中行事というものは、意外にしぶとく廃れません。本サイト花の情報局が、18年もの運営を続けられたのも、実に季節行事の花というカテゴリがあってのことだったりします。

実を言いますと、私自身は、季節行事を自分でやりたいタイプでは全然なくて、ほぼ職業上の興味しかありません。ひな祭りに桃を生けようとか、正月に松を生けようとか、あまり自発的には思わない派です。でも、仕事で使うからそのとばっちりで、結局家でも生けてますけど。……七夕飾りも、たぶん今年も家の中に立てることになりそうですけど。(数年前に家で七夕飾った画像がこちらにあります)

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Posted by sei