自分が使った花材事典:ライラック(白)

2018年10月28日

夕方の光りで、ちょっと怪しい色になってしまいましたが、純白のライラックです。

いやー、ライラックなんて生けると、テンション上がりますね。
私は、子供の頃にライラックを見たことが無く、そのくせ翻訳小説の中では何度もお目にかかっていて、そのせいですごく憧れていた花でした。
憧れも、度を越すと良くないもので、私は初見のライラックには、なんと失望してがっかりしたのです。多分、わがイマジネーションの中のライラックに、本物が及ばなかったのだと思います。

でも、現在では、「ありのままのライラック」がちゃんと好きになりました。
季節の花であることと、生ける機会がありそうで無いことから(水が下がり易いので、店舗生けこみにはあまり使いません)、稽古に出てくると「おっ!」と思います。

ライラックは、紫のものもいいですが、この日生けたのは白でした。

花がたっぷり付いています。嬉しいですねえ!
下の画像の一枝なんて、花がぎゅうぎゅうに詰まって苦しそうなくらいです。

こんなに花が付いてないのも出回るので、スカスカの花でがっかりすることもあります。
でも、「スカスカでがっかりする」などと言える身分になったのは最近のことで、以前は、スカスカライラックでも、「触れるだけ幸せ」みたいなところがありました。気軽にお稽古に入ってくる花ではないですからね。ライラックを納品してもらえる稽古場なんて、相当大きい教室だと思いますよ。

このように、扱えることが嬉しすぎる花は、何の技もなく花瓶に放り込むことがよくあります。

毎朝、このライラックを見るだけで幸せだった……。

自分が撮った画像を見ても分かるんですけど、↑このような画像を撮るってことは、「あふれんばかりの花」であるだけで、かなり満足しちゃっているんですよね。だから、生け方が甘くなってしまいます。

もっと花に寄った画像もアップしておきましょう。

可憐でございますねえ。
この可憐な花を、幽霊が折りに来る怪奇小説を、私は知ってます。
子どもたちが、
「知らない男の人が、うちのライラックを折ってるよ」
と言うので、子どもたちのママが見に行くんですけど、ママには何も見えません。
ただ、最近ライラックを折り取ったらしい跡があるばかり。
最終的に、あんまり怖くないホラーなので、怖いの嫌いな人でも読めます。オーガスト・ダーレスの、「ライラックの茂み」という作品です。