自分が使った花材事典:栗

2016年5月28日

栗の木は、意外にポピュラーな花材です。町の花屋で、わりと簡単に買えるものなんですよ。


私、実を言えば、栗を生けるのが大好きです。そこで、見かけるやいなや入手したのですが、この画像の栗は、あまり良い品物ではありませんでした。
上の画像からも分かると思いますが、葉が巻き始めています。買ってすぐに、これだけ巻いてると、ちょっと嬉しくないですね~。
しかも、葉が巻いてる要素をカバーする魅力が無いので、なおさら「買うんじゃなかったかなあ」という気持ちになります。買ったときは、「出始めの栗だから、こんなもんかもしれないな」くらいに思っていたのですが、この栗を入手した直後に出向いた稽古場で、もっと安く、もっと良い品物の栗を見てしまい、久しぶりに「失敗した」と思いました。


葉っぱさえ巻いてなければ、そんなに悪くない枝だと思うんです。

栗の実付きが、ちょうどいい感じです。

栗とか柿とかは、実付きが良い方が嬉しいものですが、大きい実がばんばん付いていればいいというものでもありません。むしろ、飾ったときにスマートに決めやすいのは、いい感じの小さい実が良いバランスで付いている枝です。

↓この栗の実で、一番小さいものはこれくらいの大きさでした。

「かわいいな」と思えるような大きさの実が付いている方が、何かと扱い易いです。

栗は、枝が枯れてしまっても、実だけ取っておいて花材にすることもできます。

今回の栗は、どうせ葉っぱが巻いてしまっていたので、とっとと「実だけ」にしてしまいました。

実だけにしたら、たった一日で完全に茶色の実になりました。(最初は、いくらか青味が残ってた)

私は、栗の実だけにしたものを、草月展で使ったことがあります
リースとか、ドライフラワーアレンジを作る人にも、栗の実は面白い素材になると思います。

いけばな的には、丸いかわいげと、イガイガの面白さをうまく使いたいところです。
栗のイガは、作りたい形によっては、引っ掛かりがよくて便利なことがあります。
たとえば、このくらい積んでも、まあまあ崩れないで形を保ってくれるのです。

いじっているときに、うっかりトゲを刺してしまうと痛いですけどね。でも、痛いのも、夢中になると忘れるんです。
草月展に使ったときには、お風呂に入ると手が滲みて、「なんで滲みるんだ? ……ああ、栗触ったっけ」ということが度々ありました。