自分が使った花材事典:撫子(楊貴妃)

楊貴妃なんて、美女の中の美女の名前をもらっていますが、撫子としてはすごく一般的な品種です。
20年くらい前に、私の親しくしていた花屋さんが、毎週のように楊貴妃を入れてきて、そのときに私には「安価なお稽古花材」という印象が刻み込まれてしまいました。

実際、安価で親しみやすい花の一つだと思います。

花屋的には、お稽古花にこれを一本でも付けると、花材の組み方としてまとめやすいです。パっと明るくて、「お花もう一種類入ってます」ということがはっきりするので、「困った時の楊貴妃頼み」みたいなことができます。これは、お稽古花だけでなく、仏花にも言えます。

楊貴妃は、独特のピンク色をしています。明るいだけでなく、ちょっとチェリーピンクみたいな色味が入ります。撫子を数種類仕入れたときでも、楊貴妃だけ妙に目立ちます。
これは、長所でもあるんですが、うっかりするとダサさにつながります。ダサさに陥らず、かわいくかっこよく生けたいものです。

考えたら、20年前と、楊貴妃の地位ってあんまし変わらないなと思います。20年前も、今も、そしてこれからもずいぶんたくさんのお付き合いを楊貴妃とはするんだろうな、と思います。