日本一の町

※旧ブログの記事です

私の育った町の周辺は、近隣の花屋さんに、「日本一デンファレが売れない地域」と呼ばれていたものである。おそらく今でも、ほかの土地よりは売れてないんじゃないかと思う。

デンファレとは、このような花である→デンファレ

大抵の方は、ああ見たことあるな、と思われるだろう。輸入蘭の一種だが、安価なもので、10本500円くらいで買える店もある。私は個人的には好きとは言えない花なのだが、店頭では割と人気のある商品だ。
これが、わが町で売れなかったことには理由がある。

今から、20年近く前、今のように安い輸入デンファレがあまり無く、国産の、1本3000円ほどもするデンファレの方が多かった時代に、わが町では、この花を無料で手に入れられる方たちがたくさんおられたのである。
その方たち、どこから入手するかと言うと、「JALの人に」もらっていたのだ。
隣の町にJALの大きな社宅があり、フライトで東南アジア方面に行った人が、お土産によく買って帰って来た。プレゼントに、非常に喜ばれたからである。
そりゃあまあ、喜ぶわな。
花屋さんを覗くと、同じようなのが1本3000円で飾られているのだ。なんてリッチなの♪って話になるだろう。
しかし、本職の花屋に言わせれば「3000円のとは、全然別物でっせ」というものなのである。
国産の、生産者さんが花にかしずくようにして育てたものは、色が違う。枝つきが違う。つぼみの色気が違う。持ちが違う。
まるで、宝石なのである。
もっとも、1本3000円と、10本500円の商品が、このくらい違わなければ、詐欺みたいなものであるから、当然なのである。
やがて月日が流れ、巷にも安いデンファレが普及するようになり、JAL社宅からの、デンファレのおすそわけ習慣は無くなったそうである。
しかし、消費者の中に刷り込まれた「無料でもらった」記憶を消すことは難しい。
あの町の人たちは、今でもデンファレを「買うものじゃない」と思っているのだろう。
こんな理由で、ある特定の花が売れないという、なかなか面白い例ではある。

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