展覧会の風景

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※旧ブログの記事です

先週から、今週の初めにかけて、勅使河原茜展の会場にいりびたっていた。(3/7~3/12の日記参照)
賛助スタッフみたいな立ち位置で、手入れとか、会場係を勤めていたのだが、会場係の最中に眺めた展覧会の風景には、ちょっと意外なものがあった。

まず、ケータイ構えて歩いている人が多い。
数年前にはありえなかったことである。
ケータイでパシャパシャ写真を撮りながら横移動している集団を、ちょっと離れたところから見ていると「なにしてんの?」という気になってきて、最終的に笑えてくる。
笑えてくるほど、ケータイ人間が多い。こんな時代が来るとは。

もう一つ、私が意外だったことは、会場係に、つまり私に、実に気軽に話しかけてくるお客さんが多いのだ。
私は、自分がお客さんとして見に行った展覧会で、会場の人にものを尋ねたことは一度もない。(親しい人の個展などは、もちろん話が別です)
デパート開催の大掛かりな展覧会とか、美術館での展覧会とかで、係の人に何か聞くという考えは、私には基本的に無いのである。
しかも、話しかけてくる方の中には、「どうしてもこれが気になって、聞きたい」という人はごく一部で、多くの方が「いい展覧会ですね」とか、「大きい作品ですね」とか、「M子様(日本で一番有名なあのお嫁さんのこと)がいらしたのをTVで見て来ました」とか、世間話しみたいなことを話しかけてくださるのである。
私は、黒っぽい服を着て、地味に会場の隅に立っていただけで、ことさらに話しかけやすい気さくおねえさんのキャラなど作っていない。こんな地味なヤツに、なぜ次々話しかけてくださったのか、私は大いに不思議に思う。

会の最終日、閉場した後に、撤去作業のために集結した賛助スタッフ隊を前にして、茜家元は感極まったのか涙ぐんだ。お、かわいいじゃん、と思った私は、悪い弟子なのであろうなあ。
しかし、賛助スタッフ隊は、本当にボランティア部隊なのであって、へとへとになって働いても、どんなに入場者数が伸びて収益が上がっても、給料は一切発生しないのである。
今日び、賃金なしでこれだけの労働力を集めてくるなんて、普通では考えられん。
何時に終わるか分からない撤去作業に、一円の見返りも求めずに集まって来た人たちに、逆に「おめでとう」などと言われたら、茜先生も感激するってものだ。
撤去作業は、夜もずいぶん遅くなってから終わった。
家に帰ったら、体中真っ黒で、指先に黒い血の塊りがこびりついていた。何かが刺さったみたいだったが、いつ刺さったのか、まったく覚えていない。

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