自分が使った花材事典:アルストロメリア(朱)

2016年2月29日

花屋的には、もう君の顔は見たくもないよ……というくらい、毎日会っている花です。

会いすぎるせいか、すでに新鮮味は無く、もともと好きでもないので、あまりいけばなには使いません。
大体が、アルストロメリアが好きという人は、私はあまり会ったことがありません。人気投票したら、結構下の方だと思います。にもかかわらず、こいつは定番花材の地位をゆずりません。なぜなんだろうなあ。

アルストロメリアの特徴である、「枝分かれ部分」。

この部分をうまく使うのって、難しいです。いけばなだけでなく、花束にするときにも難しいです。

しかし、私がアルストロを嫌いなのは、「使いにくい」からではありません。ズバリ、顔が嫌いなんです。

生産者の方が、この記事を読まれたら悲しむでしょうが、この顔はどーーーーも好きになれん。なんとなく、粗くて強引な感じがしません? そして、安いアルストロは本当に安っぽい顔をしてますよね。あれはダメだ、私は。

でも、お稽古場で取った花なので、なんとかいけばな作品には仕立てました(嫌いな花材を取るのも勉強のうち)。その際に、花を一つだけしか付けたくなかったので、一輪を残して切ってしまいました。

お稽古の結果としては、「まあまあ」だったと思います。

切り落とした花は、もちろん捨てたりしません。
↓こんなに短いですが……

でも、ちゃんと花瓶に挿して飾りました。いけばな的には、「こんなに短くしちゃって」という感じですが、フラワーアレンジの切り分け方だと、このくらいは全然アリです。アリっていうか、ごく普通です。「あの長い軸は無駄になるのか!」って思いますけど、小さい籠なんかに挿そうと思ったら、当然こうなりますよね。
ここまで切ったら、「切りくず」の範疇ではないかと思う方もいると思いますけど、大丈夫大丈夫。ちゃんと、つぼみも開いてきますよ。

私、アルスの顔は嫌いですけど、これが無ければ、多分そんなに嫌いじゃないと思うんですよ。
↓「これ」とは、いわゆる「ゴマ」の部分です。

アルストロメリアのほとんどの品種には、はなびらに斑点があります。斑点を除いた品種もありますが、「リグツ」とか、高級品種になります。
いやー、リグツはいいですね。特に、高いリグツは。あれは、私も好きだなあ。

もっと、どんどん斑点をなくしちゃえ、と思いますが、多分、難しいのかもしれません。アルストロメリアの、原種の写真を見たときに、ばっちり斑点がありましたので、「種に特有のもの」なのであり、それを「取っちゃえ」と言ってはいけないのかもしれません。

上にも書きましたが、アルストロメリアのつぼみは、ちゃんと咲いてきますので、最初についてた花が散ったからといって、捨てることはありません。

↓このくらいのつぼみは、必ず開いてきます。

品物が良いと、上の小さいつぼみまで開いてきます。私の長年の観察によれば、「値段が高いアルストロメリアほど、最後までつぼみが開く」と言えると思います。

私は、どっちかというと、後から開いてきた花の方が好きなんです。なので、むしろ、最初の花はあまりどうでもよくて、つぼみが開いてくるのこそ待っていたりします。
後から開いてくる花は、形も色も優しくなって、最初の花の持っている「キツさ」みたいなものが和らいでいるからです。

↓ほら、大分やさしくないですか?

この花は、一番上の画像の花の、10日後に咲いた花です。私、このくらいが好き。これを見ずに捨てるなんて、勿体無い!