自分が使った花材事典:雪柳

2018年9月13日

雪柳というと、一般の方は白い花の咲いている状態を思い浮かべることが多いでしょうか。
しかし花市場には、青い葉の繁った時期にも、紅葉の時期にも出荷されます。

↓一部、葉をむしって使ったために、葉の無い枝先があります。ごめんなさい。

葉の時期の雪柳も、私たちには良い花材です。枝先が踊るのがいいですよね。
いけばな初心者のお稽古にも使えるし、大作にも使える優れものです。

上の画像を見て、「あら、いい紅葉ね」と思った方、います?
これが、よくできた「偽の紅葉」だと知ったら、どう思います?

……幻滅しますよ、私は。買っておいて文句言うのもおかしいですけど(注:作った紅葉だと分かって購入しています)。

偽の紅葉のトリックは、いたって簡単。上から、赤い染料をかけるだけです。
これが、結構うまくできてるところがかえって腹立たしい。

↓色塗ってあるのが分かりますか?

葉の縁に、赤がたまってるでしょ。そして、葉が妙にテラテラしてます。

↓ほら、葉脈のところにも、赤い色が集まってるでしょ。

この商品、結構メジャーです。ということは、みんな普通に買ってるんです。
不思議でたまらないのは、「雪柳の塗り紅葉」が役に立つ現場が、まったく思いつかないことです。

世の花好きさんが、どんなに「いやねー、塗り紅葉」と言っても、それが役に立つ市場があるなら、生産され、売れていくことにそれほど不思議な感じはしないはずなんです。私やあなたの好き嫌いと、市場は同じ動きをするとは限らないですものね。
しかし、「塗りの雪柳の方が、より良い」という人には会ったことがありませんし、「その方が売り易い」という納品先も、まったく思いあたりません。
緑の雪柳がきれいじゃないとか、使い難いというなら、「塗り」がはびこる余地はあると思いますが、そんなこと全然無いです。
塗りの手間とコストがすごく不思議だ。
私は、枝がこれしか無いから「塗り」を使いましたが、緑でまったく問題なかったんですけど……。「緑では問題があるのだ!」という人は、どこにいらっしゃるんです??