自分が使った花材事典:八重桜

2018年10月25日

今日の花材ではなくて、4月に生けたものです。更新をサボっているうちに、季節はずれの花材になってしまいました。

八重桜は、大好きな花材です。

↑少々、折矯めが入っています。

私は、「何の花が一番好きですか」と聞かれたら、「桜」と答えることにしています。
本当は、一番好きな花を選ぶのは難しくて(アステア映画の№1を決めるのと同じくらい難しい!)、その日によっても違ったりするんですけど、桜を見ると、とりあえずテンション上がります。

その桜の中でも、特に八重は好きで、切花で入荷したのを見ると、感極まって、思わず変な声が出ちゃったりします(八重桜変態か)。

八重は、やっぱりこの花のバランスが好きなんでしょうね。

そして、なんか知らんけど贅沢している気分になるんですけど……世間の皆さんはなりませんのでしょうか。

八重桜の顔をまじまじと見ると、
「桜って、まぎれも無くバラなんだわ」
と思います。
うちのベランダには、バラが4種類8鉢と、リンゴが1鉢あるので、「薔薇族」の造作の共通性がよく見えます。

素人の方に言うと意外に思われるようですが、桜の枝というのは、実は大して色気がある線を持っていません。
「え、あんなにきれいじゃありませんか」
と言われますけど、あれは、花の付き方が甚だしく多いだけのことです。枝の「線」は、きわめてぶっきらぼうなのです。(うそだと思ったら、今葉っぱを付けている桜の木を観察してみよう)
「線」の面白さのことを言うと、桜は梅にも、ボケにも劣ります。(良く言えば素直な線ですけど)

そこで、桜の枝をいけばな家は矯めるわけですが、八重の場合、無理に矯めなくても、そんなにぶっきらぼうに見えないことが多いです。

多分、花の塊で、強弱対比が付くから「ぶっきらぼう」が隠蔽されるんだと思うんです。


この、なんにもしてない線に、花で勝手に強弱対比が付いています。

でも、花が無いものと思って、線だけ見てご覧になると………どうです?

見えますでしょ。隠れているぶっきらぼうな顔が。