自分が使った花材事典:ピンクの薔薇(うちの実家の薔薇)

2018年12月28日

うちの実家の庭から採ってきた薔薇です。

このピンクの薔薇、うちの隣のお宅から貰ったものです。それも、株を貰ったわけではなく、切花として貰ったものを、ダメモトで挿し木にしたら付いちゃって、すでに30年ほど生きているという代物です。
その「挿し木」も、実に荒々しい方法で、ただ地面にざくっと挿しただけでして、なんでこんなに容易についたものやら、よく分かりません。

この薔薇、今となっては品種不明です。貰ったときには、特に品種は聞いてないし(切花としてもらうのであれば、品種名を聞く必要はあまりありません)、隣のおばあちゃんはすでに亡くなってしまいましたので、調べる術がありません。なにか、とんでもなく特徴的な花色とか咲き方だったりすると、私でも分かったかもしれませんが、ここまで「普通のピンク薔薇」だと、私には手も足も出ません。

でも、分かる範囲で、株の情報を書いてみますと、

  • 木立性で、系統は明らかにHT
  • 四季咲き
  • 淡いダマスク香あり
  • 丸弁
  • 花弁数25枚ほど
  • 性質強健。病虫害はあるのに(アリマキ、うどん粉etc)、何の対策もしなくても涼しい顔で咲き続ける

↑こんな感じになります。花付きは、あまり良くもないのですが、あれは母が何にも手をかけないからだと私は思っています。しかるべき世話をしたら、多分もっと咲くんじゃないかしら。
(誰か、「この品種ではないか」と思う方は教えてくださいませ)

で、この薔薇を、私は実家に行ったついでなどに持って帰って生けることがあるのですが、何しろ素人が咲かせた薔薇なので、軸が全然しっかりしていないので、花をポイントにする以外には、あまり使いようがありません。


一応、色は悪くないし、丸弁の優しい顔に咲くので、私は嫌いではないのです。

このように、切花で売っているものを育てるとよく分かりますけど、花にしろ、グリーンにしろ、「まっすぐな軸」で「葉っぱの形までそろい」、「一点のシミも無い」ような植物を育てるのって、非常に困難なのです。うちのような素人だけでなく、バラ園の薔薇でもそうなのです。
そう思うと、花屋で売っている、「どこにも傷の無い切花たち」は、植物としてはすごく珍しいやつらなのです。
なぜか、日本人というやつは「無傷」が大好きで(外国の人は、日本人ほどうるさくない)、葉っぱ一枚千切れていても、「そっちのやつと代えてください」とか言いやがるんですよ。この、「完全品を求める精神」は、何なんだろ? 多分、日本人のきっちり気質は、製品の品質を高く保つこととかに役立って、それで世界の信用を勝ち取ってきたみたいなところもあるんでしょうけど、無意味な「無傷主義」もいっぱいあるよね。なんだろうね、あれ。

あと、あれも不思議よね。「作り束」を買わないで、「その作り束と同じものを作ってください」っていう人。
どうやら、「作ってある花束よりも、今、新たに花束に作った方が、花が新鮮」と思っている気配を感じるんですけど、花屋からすると、入荷日が同じなら、どっちでも同じなんですけどね。
今作った方がよい、というのは、刺身ならそのとおりだと思いますよ。二時間前にプロが切った鮪と、たった今素人がぶつ切りにした鮪なら、後者の方がマシですわな。
でも、刺身は出来てるのを買うようなやつが、花は「今作れ」って言ったりするんだよ。
ちょいとお客さん。そのこだわり、本質から外れてますぜ。