自分が使った花材事典:リンドウ(紫)

2018年9月5日

切花のリンドウは、青が一般的。紫や白もたまには出ます。
花屋的には、コンスタントに売れるのは「青」。「白」は、「まあ、白いリンドウ!」と感心する人が多い割りに、あまり買ってもらえないような感触があります。
「紫」は、目ざとく見つけた人が買っていくように思えます。紫の方が、花としては甘い印象になります。

仏花の600円束とか、800円束に入れやすいのも「青」です。
リンドウは、何気に民に愛されておるなあと思うのは、同じ値段の仏花の束で、「リンドウなし」と「リンドウ入り」を出すと、「リンドウ入り」がてきめんに早く売りきれるときですね。

このリンドウ、本当はちゃんと開くタイプの花だったので、開いた画像を撮っておくんだった……。
ところで、あの「開かない品種」は一体誰が作ったわけ?
「開かない性質」ってどういうことよ(うまく扱えば開く、というなら話しは分かる)。
しかも、それがメジャー品種になれるってどういうこと? 青けりゃいいのかい。
………青けりゃよかったんでしょうね。売り物になったんだもの。こういうところが、たまに分からないんだよなあ(開かないバラとか、考えてごらんなさい。ありえないでしょ)。

リンドウを、ある程度さばいていくと、こういう「きれっぱし」みたいな枝が残ることがあります。せっかく蕾が付いているのであれば、ぜひとも捨てないで小さな花瓶にでも挿してあげたいです。こういうのを、惜しげもなく捨てる奥さんがいらっしゃいますが、勿体無い話しです。
フラワーアレンジメント的には、このくらいの大きさの花材も、立派な戦力です。てゆーか、こういうのを無駄にしていては、採算が取れません。

リンドウは、「秋」を感じさせることができる花材としても優秀です。
しかし、面白いんですよ。最近のお客さんは、「リンドウは秋のものだ」と知っているのに、どの花がリンドウか分からない人がいます。恐ろしいことには、これは若い人だけではありません。
「花の姿は人の心から去ったのに、決まりきった情報だけは生き残っている」ということなのでしょうか。