自分が使った花材事典:日本水仙

2019年4月24日

はあ? 今まで日本水仙をアップしていなかっただと……?

とっくにアップしてるつもりになってました。なんと、今確認してみたら、「自分が使った花材事典」にアップされている水仙は、黄房だけです。私としては、日本水仙とラッパ水仙はアップしてるはずと思ってたんだけど……何を勘違いしていたのでしょうか。

と、いうくらいに、水仙はよく使われる花材です。シーズンになると安価に手に入るので、家庭でも飾りやすいです。お庭に植えているお宅も多いと思うので、庭から切って飾ってもいいです。

いけばな的には、安価でありきたりな花なのに、独自の魅力で、小品から大作にまで使える、頼りになる花材です。草月展の一番大きい席で(90cm四方くらいです)、「花材は水仙の葉っぱだけ」という作品は珍しくありません。
ほかの流派のことは知りませんが、草月流に限って言いますと、学習カリキュラムの中に、「すいせん」という一項目が存在するくらい、大切に考えられている花材です。(「すいせん」の一項があるテキストの中で、特定花材の学習が必要とされているのは、「ハナショウブ・かきつばた」と「すいせん」だけです)

水仙の葉っぱの扱いについては、黄房水仙の記事で多少解説しているのでご参照ください。
んで、今、自分で黄房の記事を読み返してみたら、記事の最後で、「ハカマについてはまたの機会にアップします」なんぞと書いているのを発見しました。
すっかり忘れていましたが、自分で予告してしまっているので、この記事では「水仙のはかま」のことを少々書いてみます。

そもそも、水仙のはかまとは何であるか?
ズバリ、これです。

この部分のことです。

上の画像の赤丸の部分、ここが「はかま」です。根元のところに、短い輪っかがはまっているような格好になっています。
この「はかま」は、実は引っこ抜くことができまして、「輪ゴム扱い」ができるのです。
「はかま」には、植物的にどんな意味があるのか、私は知りません。葉っぱがバラバラにならないように留めてるのか?と思いますが、似たような葉っぱのどの植物にもあるわけじゃないので、なんらか水仙なりの理屈があるんじゃないかと想像されます。植物学者じゃないから分からんですけど……。

はかまの輪っかを引っこ抜くのは、ただ引っ張るだけではダメです。「ただ強く引っ張る」方法ではかまを脱がせようとすると、切れてしまうはずです。切れると使えなくなりますので、もっとやさしく、ソフトに脱がせなければなりません。

やさしく、揉んであげてください。

力ずくで脱がせるなど、暴行罪みたいなことをしてはいけません。はかまの部分を、全体的にやさしく揉みます。やさしく、やさしくアプローチしますと、こうなります。

勝手に、はかまが脱げてきています。
向うから脱いでくれるように仕向けましょう。暴行をはたらいていたら、こうはなりません。相思相愛に持ち込みましょう。(何の話だ?)

上の画像の状態になったら、もみながらはかまを引き抜いていき、このようにハカマを脱がせることが出来ます。

はかまは、切れ目の無い輪っかなので……

この輪っかを、再びはめなおせば、バラけている葉っぱをまとめる道具として活用できます。

もちろん、さっき抜いた同じところにもう一度はめるのでは、抜いた意味がありません。葉っぱを自分の好きなように組みなおしたり、葉っぱの長さを短くしたりしたところに、再びはかまをはめると、
「実は、人の手で整形したのに、あたかも最初からこういう形だったかのように見せかけられる」
わけです。

私などは、上記のような「あたかも演出」のためよりも、単純に「葉っぱをまとめる道具」として使うことが多いように思います。
たとえば、水仙を、元の長さから10cmくらい切って水盤に立てよう、と思ったとします。
はかまは、どの水仙もこのくらいの長さなので……

10cmも切ったら、ハカマの部分は切り落とされてしまうんです。

で、ハカマを切り落としちゃうと、葉っぱが全部バラバラになり、剣山に挿すのがめんどくさいし、超立たせにくい。何かで葉っぱを一まとめにしたいな……そうだ、切り落としたハカマをはめればいいじゃん、となります。

しかも、ハカマの良いところは、「葉っぱを一まとめにする道具扱い」で使っても、その「道具」を隠す必要が無い、というところです。
葉っぱを一まとめにするだけなら、極端な話、輪ゴムでもできるんです。でも、そしたら、輪ゴムを隠す手段を考えなくちゃならない。
下の画像をご覧ください、左右、どっちの「道具」がいいですか?

「右」だったら、何も隠す必要ないでしょ? このような便利グッズを、水仙は自前で用意しているので、活用すると非常に助かる、という話です。

水仙のハカマを使うのを素人さんに見せると、びっくりして感激されることがあったりしますが、作業としてはそれほど難しいものではありません。「知っていればできる」タイプの技術です。