自分が使った花材事典:生パンパス

2019年8月29日

フレッシュなパンパスです。ドライのパンパスと区別するために「生パンパス」と呼びます。
以前は、
「えっ。乾いてないパンパスが手に入るんですか!」
というオドロキを覚える名称だったのですが、最近はフレッシュが多く出回るようになったので、それほどインパクトのある花材名ではなくなりました。(私の言う「以前」とは、たいてい20~30年前くらいを指します)

パンパスは、正しくは「パンパスグラス」というのですが、花業界で律儀にパンパスグラスと呼ぶ人はあまりいません。パンパスでどこでも通用します。
ただし、花屋の店頭では、うっかりすると「パンパース」だと思い込むお客さんがいるので、紛らわしくないように「パンパスグラス」ときっちり言うこともあります。

生パンパスは、基本的には穂が出ていない状態で売っています。上の画像の穂は、私が自分で出したものです。
つまり、こんな感じで売っています。
↓↓↓

たまに、これを見て「タケノコですか」という素人さんがいたりしますが、そう言われても仕方ないようなルックスです。

今回ゲットしたパンパスは、ずいぶん細い品でした。しかし、安かったので、「妥当な大きさ」です。

↓こんなに細いです。大きいものは、この2~3倍くらいの太さになります。

せっかくなので、穂を出すところを画像でお眼にかけます。

↓まず、パンパスに縦に切れ目を入れます。

鋏でもいいですし、ナイフでもいいです。

上の画像は、フローリストナイフで切っていますが、カッターナイフでもなんでもいいです。

↓このように、ズバッと切り込みを入れます。

慣れない方は、あまり深く切らずに様子を見ながらそそーっと切ってください。切り損ねると、一本無駄にした後悔の念が湧きますから。
でもまあ、現在は、生パンパスがその辺の花屋で買えるので、切り損なっても比較的余裕をかましていられます。以前はですね、つまり20~30年ほども前はですね、めったに手に入らなかったので、失敗したときのショックが大きかったのです。私のような昭和の残党は、いまだにその記憶が抜けません。

で、入れた切れ目から、穂の周りの皮(葉)をはがしていきまして……

どんどんはがしていきまして……

白い穂が出てくるところまで剥きます。
画像のパンパスは、まだまだお若い方だったようで、こんなに細くなるところまで剥かないと穂が出てきませんでした。
↓↓↓

若いパンパスの穂はデリケートなので、そーーっと引き出します。

↓周りの皮を全部剥くと、このようになります。

皮をはぐときに、下の画像の赤丸の部分のような「根元」というか、「持ち手」みたいなところを剥き残すようにします。

↑この赤丸の部分が無いと、挿しにくかったり、持ちにくかったり、穂の軸が細すぎて折れやすかったりして、扱い難いです。もしも、「持ち手が邪魔だ」と思ったら、後から取ればいいのですから、最初はとりあえず「持ち手」をつけて剥いていくのがお勧めです。

今回のパンパスは、穂は全長の三分の一くらいしか入っていませんでした。(安かったからねえ)
下の画像の、穂の右に立っているのは、切り落とした「穂の入ってなかった部分」です。

生パンパスの穂は、キラキラしてます。ドライパンパスが主だった時代に、初めて生を見たときには、美しさに感動しました。
今は、すっかり見慣れちゃって、「キラキラ♥」とか思ったりしなくなってしまいました……。

以上が、スタンダードな生パンパスの剥き方です。
しかし、こんなものに決まりは無いので、上記のような方法でしか剥いてはいかんということなどありません。必要に応じて、いろいろな穂の出し方をしちゃってOKです。

たとえば。
軸に縦に切れ目を入れまして、

この切れ目の後ろ側にも、同じように切れ目を入れまして、その二本の切れ目から穂を引っ張り出すと、下のようになります。

↑軸の左右から、穂が飛び出している格好になります。

また、穂を全部出すけど、皮も残す、ということだってできます。
↓剥き取らないで、皮を線にして残しました。

穂だって、直立させなければならん法はありません。

↓手でくしゃくしゃっと癖付けして……

滝のように流れ落ちる形にしてみたり。

でも、上の画像のように「流れ落ちる」感じは、軸がしっかりして立派なパンパスだと、折れちゃってできなかったりします。今回は、「安くて若いパンパス」だからこそできたようなものです。