自分が使った花材事典:オクラレルカ

2019年5月23日

オクラレルカは、フラワー業界の人にはメジャーな存在ですが、一般の方には、ほとんど知られていないようです。

葉ものですからね、普通は、これだけ買ったりしないですものね。

私たちはおなじみなので、なんとも思わないですが、「オクラレルカ」という名前は、日本人にはちょっと「変わった音」としてとらえられるようです。植物の名前だと言うと、ずいぶんびっくりする人もいます。
あと、「送られるか?」という日本語的イメージが脳内に発生し、
「宅急便のオニイさんに、これ送れますかってって聞いてる絵が出てくる」
と言ってる人もいました。(非常におかしいですが、そのカンジ分かります!)

オクラレルカは、アヤメ科の植物です。アヤメとか、花菖蒲の仲間なんです。
そう思って葉っぱを見ると、どんどん花ショウブっぽく見えてくると思います。

オクラレルカは、ほぼ葉っぱだけが流通します。
ちゃんと、アヤメ一族特有の形の花が咲くのですが、とても小さいので、あまり商品価値をつけてもらえなかったのでしょう。(私は、オクラの花は嫌いじゃないです。たまに、ついてくるとうれしいですよ)

↓オクラレルカは、一本だけ見るとこんな姿です。

ヨーロッパ原産の植物ですが、十分「和テイスト」もイケちゃいます。
よくやるのが、花ショウブの葉っぱを、オクラレルカで水増しするという方法です。
オクラレルカの葉のほうが、長くて勢いがあって、丈夫で扱いやすく、値段も安価なので、大型作品にしやすいんですよね~。

あやめや、菖蒲、かきつばたを生けるときに、華道の世界では、葉先の爪の表情や、葉っぱの向きをとても大事にします。
でも、「洋物」のオクラレルカには、そんなにうるさいことはあまり言わずに生けられています。
外来の花なので、そもそも「オクラレルカの伝統的な扱い方」というものはありません。

でも、こだわろうと思えば、オクラレルカにも、ちゃんと繊細な表情はあります。


爪先を意識して葉組し、葉の向きも見極めて、純和風美女になっていただくこともできると思います。(花菖蒲と同じように、葉っぱを水平にして向きを知ることができます)

洋服を着ても、和服を着ても、美人さんは似合ってしまうんでしょうね。